『復讐、そして、身代わり』
『復讐、そして、身代わり』
初老の男が今日も日課としていた朝のウォーキングに励んでいた。自らがコースの途中に設定した湧き水の出る沢のほとりに差し掛かった時、いつもとは違う、ある違和感をその男は何となく感じた。いや、思い違いに違いないとその男は思うようにした。
その男は歩を止めた。男は恐る恐るという感じでゆっくりと近付いていった。一歩、一歩、近付いていくたび、自分の見たものは、最初に自分が感じた想像や推測と違いがないと確信していった。そう男がはっきりと確信した時、もうそれ以上は近づけなかった。その男が見たものは……横たわる男性の死体であった。
桃は朝になって、すっかり回復していた。昂平にお礼を言いたかったが、昂平はどこかに行ったのか、それとも自分が泊まる旅館にでも帰ったのか、居なかった。
【お腹空いたあ】
桃がそんな事をのん気に思っている時、桃の携帯電話が鳴った。知らない番号からであった。桃が携帯電話に出ると、
「警視庁多摩西署の平井刑事の携帯電話で宜しいですか? 自分は秋田県警の桑田と申します」と相手の男が名乗ってきた。
「はい。平井です」
「直ぐに迎えをよこしますから、至急、こちらにご足労願えませんでしょうか?」
「……私がですか!?」と桃は相手の言っている事が直ぐには理解出来なかったのであった。




