『二人きりの夜-7』
上村と朋美は、いつもは朋美が三宅などと来る行きつけのバーにいた。
「こんな所、初めてです」と上村が嬉しそうに言った。
「いつもはどんな所に?」と朋美が聞く。
「居酒屋とか、町中華とか」
「たまにはこういう所もよくありません?」
「そうですね」
「ですよ」
「平井刑事の学生時代の先輩だったんですよね!?」
「高校が一緒だったんです」
「へえ。それは奇遇だ」
「この前、警察署でばったり会って、本当にビックリしました」
「聞きました」
「それに立場は違えど、今は未司馬家一家殺人事件をお互いが追っている。本当に奇妙な偶然です」
「そうですよね……で、私に聞きたい事って何です?」と上村が徐に言った。
「藤田の遺書って、どういう内容だったんです?」
「ズバッと聞いてきますね……自分が事件の真犯人であるというのと、それを詫びて、自殺をするという内容でした」
「藤田の直筆で間違いない?」
「はい」
「藤田は犯人なんですかね?」
「遺書とはいえ、自白しているんですからね。そうなのかも知れません」
「何か他人事みたい」
「そんな事ありません」
「掴み辛い」と朋美がボソッと呟く。
「はい?」
「いや、何でも……まあ、飲んで下さい」と飄々とした上村を酔わせて、情報を聞き出す作戦に出ようとする朋美であった。




