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スウィートビター  作者: そらあお
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『二人きりの夜-4』

 昂平は灰と骨だけになってしまった芽依と火葬場で対面した。もう言葉がなかった。居た堪れない思いでいっぱいだった。以前にも一度だけ、全く同じような思いを感じた事があった。それは母の眞由美が亡くなった時であった。あの時も全ての感情がフリーズしたかのように、凍り付いていくような感じにとらわれた。

 悲しいなんて単純な言葉では言い表せないほどの感情が胸を支配した。永久の別れなんて、ちっとも実感がなかった。今の芽依みたいに灰と骨だけになったのを見た瞬間でも、何となく夢のような、全く自分とは関係のない第三者の灰と骨なんじゃないかって、客観的に思えるほどの冷静さというか、他人事のような無頓着さが、込み上げるはずの激しい感情を押し止めているような気がしていた。


 そんな時、昂平は参列者の噂として、聞きたくない話を聞いてしまった。芽依の夫の女遊びとギャンブル遊びが酷く、芽依が生活にも困っていたという話であった。

 昂平はその時、初めて言い知れない奥底からの沸々とした感情が込み上げてくるのを感じた。芽依が不憫でならなかった。絶対に有り得ない事だったが、例えば芽依がパチンコやブランド物などに狂って、自分に借金の催促に来てくれていた方がどうにかましなのにと思った。昂平は込み上げてくる感情と理性の狭間で葛藤した。今直ぐにでも暴れ出したい自分と、それを必死に押し止める自分。

 自分でももうどうなるか分からないと思った時、昂平はその場所に、骨と灰になってしまった芽依に背中を向けた。暴れ出す野生の本能が勝るのは知れた事だからであった。その寸前で昂平は背中を向けた。昂平は心の中で芽依に永遠の別れを告げたのであった。何もしてあげる事の出来なかった自分の無力さを詫びながら。


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