『ある人の死』
『ある人の死』
昂平は求人に応募したラーメン屋にアルバイトとして採用された。厨房の手伝い、皿洗い、配膳、接客、出前と何でもありだった。
時給は千円。賄いもつくし、当座はこのラーメン屋で頑張ろうと昂平は考えていた。
まだ慣れない仕事で尚且つ、昂平にとっては不慣れな対人相手を含む商売であったが、不思議と乗り切れそうな感覚を昂平は持っていた。
ただ単純な楽観的な発想からではなかった。一つだけ言える事は、『決意』や『思い』が決定的に違うと思える事であった。今回は自分自身の意気込みが違う。自分のペースで出来る仕事ではなかったが、やれば出来ると昂平は決意が漲っていた。
昂平は額の汗を拭った時、今までに感じた事のない充実感や充足感を確かに感じるのであった。
藤田は今日もかかりつけの病院に来ていた。ここ一ヶ月は週に二日のペースで通院していた。医者からは手術を勧められた時期もあったが、今は投薬治療で診療を続けていた。
藤田は病院のトイレの洗面台の鏡に映る自分の顔を見て、愕然とした。
【……痩せたな……】
藤田はそれ以上はもう鏡を見ず、すぐにトイレを後にしたのであった。




