『正月の出来事-7』
多摩西署では未司馬家一家殺人事件の捜査本部会議が行われていた。三十人程の捜査関係者が出席していて、その中に桃と上村もいた。二人は並んで、真ん中位の席に座っていた。
壇上の捜査本部執行部席に座っていた多摩西署の警察署長の元田が、
「事件発生から節目の十五年まで残すところあと一ヶ月ちょっとになった。幸いというか、この事件には時効はない。諸君も、もう一度、気を引き締めて、捜査にあたって欲しい。そしたら、現在の重要被疑者の方の報告を……石井くん、頼む」と元田と並んで座っていた石井が立ち上がり、
「ありとあらゆる可能性を鑑みて、捜査にあたってきましたが、ここで一つの結論として……事件の犯人は被害者の顔見知りであると、そう結論付けて宜しいかと思います」
元田が、
「週刊ツイセキとかいう雑誌の見過ぎ、影響され過ぎではないかね?」と石井に向かって言った。
「それは違います」と石井がきっぱりと答える。
上層部の見解を聞いていた上村が、真正面をじっと見据えていた。隣に座っていた桃がその上村を見る。
尚も壇上では石井が、
「結論として……未司馬家の長男である未司馬昂平が事件の最重要被疑者であると、そう結論付けて宜しいかと思います」
上村はニヤリと笑って、
「言い切りますねえ」と呟く上村の表情を桃はまたもや見る。
捜査会議が終わり、ほとんどの出席者がいなくなった会議室に桃と上村の二人が残っていて、上村が桃に向かい、
「行きますか」と立ち上がる。
「何処にです?」
「もちろん捜査です」
「はい」と桃も立ち上がるのであった。




