『押し入れの中の秘密-6』
夜になって桃と朋美が待ち合わせをして、居酒屋で食事をしていた。
「未司馬家一家殺人事件の捜査本部にいるんだ!?」
「はい。朋美先輩も……週刊ツイセキの事件の特集記事、読みました」
「奇妙な偶然だね」
「はい」
桃と朋美は同じ女子校に通った先輩、後輩であった。朋美は桃の二学年先輩にあたり、桃が高校一年生の時に朋美が高校三年生であった。
桃と朋美は部活動が一緒だった。アイススケートを既に挫折していた桃が高校から始めたのが柔道であった。その頃からまだ漠然とした思いではあったが、警察官の道を志そうと考えていた桃が将来の役に立てばと始めたのが柔道であった。その柔道部の先輩で主将が朋美であった。
桃は強くて、それでいて女性っぽい一面も兼ね備えている朋美にその頃から憧れていた。
朋美は朋美で自分にはない外見は女の子、女の子しながらも、自分より心根のしっかりとした桃に後輩ながらも一目置いていた。その頃から二人は先輩、後輩という純然たる壁はあったが、自然にというか、必然というか二人はとても馬が合った。桃は高校三年生になった時、朋美のスピリットを受け継いで、しっかりと主将も務め上げた。
そんな二人が時を経て吸い寄せられるように再び出会い、お互いが未司馬家一家殺人の、片方は捜査本部の刑事として、片方は雑誌記者の編集者として事件を追っている。とても奇妙な偶然とだけでは片付けられない運命の悪戯だったのかも知れない。
「今日は事件の話は止めましょ」と桃が言った。
朋美も、
「そうだね」と答えた。
二人は他愛もないというか、姦しい話も含め、今時の女性らしく、時を忘れて、ガールズトークに花を咲かせたのであった。




