『押し入れの中の秘密-4』
桃と朋美が、
「じゃあ、また夜」と手を振り、別れる。
朋美は警察署での用事も終えた為、帰社しようと思ったその時、
「おい」と男に呼び止められた。
「江波出版社の、週刊ツイセキの人だよね?」
【はい、左様ですが……キター】と振り向こうとする朋美のテンションが上がる。
が、相手の男の顔を見た瞬間、分かり易く直ぐ下がる。
【全然、好みじゃないんですけど……顔も冬なのに非常に脂ぎってるし】
「自分は……」とその男が名刺を朋美に渡す。男は悠現社の記者であった。朋美も自分の名刺を男に渡した。
「週刊ツイセキ、見たよ。すごい売れ行きらしいじゃない」
「ありがとうございます」
「ところでさ、三宅、元気!?」
【うちより、大手だからって、いきなり、編集長を呼び捨て?】
「……はい。元気にしてますけど」
「起死回生の凄まじいまでのリベンジだね。他社のスクープだけど、俺も我が事のように嬉しかったって、言っておいてくれる?」
「あの……編集長と古くからのお知り合いなんですか!?」
「知り合いも何も、あいつとは同期だよ」
「同期って……同期入社ですか!?」
「そう。あいつと俺はうちの会社で同期だったんだ」
「編集長って、悠現社にいたんですか?」
「知らなかった?」
「もしかして……悠現社が昔やった未司馬昂平犯人説の大々的なキャンペーンを張った時も……」
「もちろん、まだうちの会社にいたさ。だって、三宅がメインの担当としてあの記事を書いたんだから」
「……」
「それがぽしゃって、三宅は責任を取る形で会社を辞めた。それから暫くして、おたくの会社で編集長をしてるって噂で聞いて、いつか連絡を取ろう、取ろうと思ってたんだから」
【編集長が悠現社にいた…それだけじゃなく、悠現社が行った未司馬昂平犯人説の大々的なキャンペーンの渦中にいたなんて……どうして、何も言ってくれなかったんだろう】




