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『雨の日に-2』
昂平は降り続く雨の中を一人、歩いていた。
夜も深い為、歩いているのは昂平だけであった。
昂平は当てもなくただ歩いた。雨が全てを洗い流してくれる。いや、洗い流して欲しい……
今日だけでなく、今まであった事全てを……洗い流して欲しい。
そんな昂平に傘を差す手。
「……」
昂平に傘を差したのは平井桃だった。
「……」
「……」
二人に言葉はなかった。
「……」
「……」
二人はいつまでも無言のままだった。
尚も、空からは雨が降り続いていたのであった。