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『M-7』
昂平が屋根裏部屋から収納式の階段を下りてくる。そこには拳銃を構えていた桃が待っていた。
「……」
「……」
またもや……二人の悲しい対面であった。
「十五年前の……二月十四日の夜」と桃が昂平に拳銃を向けながら言った。
「……」
「この家で……とても痛ましく、おぞましい殺人事件が起こった」
「……」
「父親、二人の妹弟、そして、母親の四人が何者かによって殺された……とても惨たらしく、陰惨な事件」
「……」
「その一家にはもう一人の家族……十四歳になる長男がいたが、長男はその日は運良く友達の家に泊まりに行っていた為、難を免れる事が出来た」
「……」
「ここまでなら……何も知らない心根の優しい人なら……長男だけは助かって良かったとホッと胸を撫で下ろすに違いない」
「……」
「それが……」
「……」
「その長男自身による用意周到な殺人事件だと知らされなければね」
「……」
「十四歳のまだまだ幼い心に……」
「……」
「狂気が……」
「……」
「もしかしたら、一片の悪魔が棲みついたのかも知れない」
「……」
「長男は……親友だった坂西将一郎の家に、事件のあった日に泊まっている」
「……」
「これは紛れもない事実」
「……」
「が、事件当日の夜、その長男は坂西家を抜け出している」
「……」と昂平が何か思い当たる節があるかのような表情を見せたのであった。




