『M-6』
その頃、桃が未司馬家一階のダイニングリビングを暗がりの中、辺りを、そして、昂平を探るように、拳銃を手に来て、
「……」
桃がほんの少し物音がした二階を見上げる。
その頃、上村は車を運転していた。その車はほんの少し前まで、上村が刑事課に所属していた頃に乗っていた愛車と言っていいほどの馴染み深い車であった。目の前の信号が赤になり、
【急がないと……】
未司馬家の屋根裏部屋では昂平が手紙を読んでいた。
「……」
昂平は手紙の内容に吸い込まれるように読んでいくのであった。
桃が未司馬家の二階に来た。
「……」
屋根裏部屋へと繋がる収納式の階段が下りていて、屋根裏部屋からは明かりが漏れていた。
「……」
桃が拳銃を構えて、屋根裏部屋に向かい、
「警察よ……未司馬昂平。下りて来なさい」と言った。その声はほんの少し、震えてるように感じた。
屋根裏部屋では昂平が階下を見て、
「……」
昂平が読んでいた手紙を封筒の中に戻し、封筒を後ろポケットなどに仕舞い、
「……」
昂平が下へと下りようとする。
上村はその頃、当てもなく車を走らせていた。桃が未司馬昂平を捜しているのは間違いないと上村は思っていた。
【拳銃……どうして? 何をする気ですか?
早まらないで下さい……どうか……どうにか間に合ってくれ】
上村は車を走らせながら、心の中でそう叫んだのであった。




