123/152
『M-2』
昂平がゆっくりと一つ一つ、さも記憶をなぞるかのように家の中を辿っていく。それは今と昔が交錯するかのようだった。
キッチン。
眞由美が料理をする後ろ姿。
それを嬉しそうに見ている幼い頃の昂平。
ダイニングリビング。
楽しい……はずの家族の団らん。
が、十四歳の頃の昂平だけは笑顔がない。
その様子に気がついた眞由美。
浴室。
脱衣所にいる小学校高学年位の昂平。ドアを隔てた浴室の中からは、勝や早季子、晃勝などの楽しそうな声が聞こえてくる。
その昂平の様子を脱衣所の外から見てしまう眞由美。
階段。
十四歳の頃の昂平が勝に殴られ、階段を駆け上がっていく。
それを心配そうに見ている眞由美。
昂平の部屋。
壁のアイドルのポスターや漫画本、おもちゃやゲームなど十四年前のままで……
眞由美、勝、早季子、晃勝……そして、昂平も写った写真。
「……」
十四歳の頃の昂平が写真をくしゃくしゃに丸めて、ごみ箱に捨てる。
その時、家の中を辿っていた昂平がまたもや、頭を抱え、耳を塞いで苦しみ出す。
『昂平……昂平』
昂平はその声を必死に打ち消そうともがき苦しむのであった。




