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スウィートビター  作者: そらあお
119/152

『家族の温もり-6』

 ひばりの苑の庭園では李果が一人、ベンチに座っていた。


桃が李果に向かい、

「こんにちは」と声をかける。


李果はやっぱり、ただ微笑むだけであった。



 週刊ツイセキ編集部内では朋美と三宅が話をしていて、

三宅が、

「娘は事件当日は家に……坂西家にはいなかったんだ」


「……もしかして……」と朋美はある事を思い出した。



 ひばりの苑の庭園では桃が李果に向かい、

「……ママ」と言った。


その桃の問いかけに李果は先ほどまで以上に微笑んだように見えたのであった。



 週刊ツイセキ編集部内では朋美と三宅が話をしていて、

朋美が、

「もしかして、その娘は事件当日は病院に入院してませんでした?」


「そう、そう。よく勉強してるな。確か……」


「交通事故で……」


「そう、そう、その通り。よって、アリバイの証言の役には立たないし、もちろん、その娘自身のアリバイもしっかりしている。それに、娘は当時、小学生だから、警察もうちらマスコミも対象外にしてる」


「……編集長……その娘の名前は……」


「確か……」と三宅が自前の資料を調べていく。


「桃……坂西……桃」と朋美が言った。


三宅がその言葉にとても驚いた様子で、

「どうして、名前を!? ……警察も、坂西家の娘は当時、小学生だったし、未成年だったという事で、その頃はまだまだ今ほどではなく、不十分だったにせよ、個人情報保護の兼ね合いから、マスコミにも自主規定を設けたほどだった。確か、俺が渡した資料には……」


「名前は書かれてません」と朋美が言った。


「……じゃあ、どうして?」


朋美が一枚の名刺を三宅に見せる。


三宅がその名刺を見て、

「多摩西署の平井桃……桃!?」


「今回の事件を捜査している刑事です」


「平井……平井」とまたもや三宅が自前の資料を調べていき、

「あった……坂西桃……父親が病死、母親が精神を病んでしまった為、十四歳の時に親戚の平井家に養女に出されている」


「その坂西家の一人娘が……」


「刑事として、事件を追っている……」と朋美と三宅、お互いがお互いを見つめるのであった。



 ひばりの苑では桃と李果が同じベンチに座っていた。


「……ママ」


「……」


「今日はもしかしたら、雪が降るらしいよ」との桃の問いかけに、李果からの然したるリアクションはなかった。


それでも、桃は、

「風邪をひかないように暖かくしてね」


「……」


「今度さ……」と尚も優しく李果に語りかけていく桃であった。

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