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『家族の温もり』
『家族の温もり』
その夜は二月の、真冬の寒さを実感するような、凍えそうな位、寒い夜だった。
運良く直ぐにタクシーがつかまった朋美が、見送りに来た桃に向かい、
「寒いから部屋に戻って」と桃に早く自宅に帰るように促す。
「……先輩」
「うん?」
「もしも……」
「……」
「もしもですよ……」
「……」
「いや、何でもないです。ごめんなさい」
「……桃ちゃん」と朋美が桃の只ならぬ面持ちに心配し、タクシーを降りようとした時、
桃が、
「すいません。行って下さい」と後部座席のドアを運転手に閉めるように促す。
後部座席のドアが閉まり、朋美が仕方なく後部座席の窓を開けて、
「……桃ちゃん」
「とても楽しかったです」
「そうね」
「また……」
「……」
「絶対に遊びに来て下さい」
「もちろん」
「おやすみなさい」と桃が手を降る。
「うん。またね」と朋美も手を振り、タクシーは朋美を乗せ、走り出して行ったのであった。




