『悲しみバレンタイン-6』
M&M法律事務所の代表室で、相変わらず、場違いな色気を醸し出している護の秘書が、
「こちらが井上先生に調べるように依頼されてた書類です」と護に書類を渡す。
「ありがと」
「失礼します」と秘書が部屋を後にしようとする。
「ちょっと待って」
「他に御用でも?」
「……今日はデートか何かかな?」
「いえ、特別には……」
護、もう一度、秘書の姿を下から上へと見る。
「……そう。下がっていい」
「失礼します」と秘書が部屋を後にする。
昂平がアルバイトをしているラーメン屋では、出前から昂平が戻って来ると、
店主が、
「そろそろ上がっていいよ」と言った。
「お疲れさまです」と昂平が挨拶をする。
「明日はお休みだよね!? じゃあ、明後日。お疲れさま」と店主が料理を作りながら言った。
「お先に失礼します」と昂平がもう一度、頭を下げ、店を後にしたのであった。
夜になって、桃と朋美が待ち合わせをして、桃の暮らすマンションに向かっていた。ワンルームのいたって普通のマンションであった。
「きれいにしてるね。あっ、これかわいい」と朋美が部屋を見回しながら言う。
「その辺に適当に座って下さい」と桃が言う。
その頃、M&M法律事務所の代表室で護が、書類を見ていて、その書類を置き、立ち上がり、
「……」
眼下に広がる高層ビルからの夜景。
「……」




