『悲しみバレンタイン-3』
朝刊や朝のニュースなどには間に合わなかったが、午後になる頃には、未司馬家一家殺人事件の重要被疑者である藤田の死亡という事実が明るみとなり、報道陣やマスコミは一斉に色めきたった。
週刊ツイセキ編集部内でも、三宅や朋美などが対応に追われていた。
朋美がデスクに座る三宅に向かって、
「こういうタイムリーなニュースだと、どうしてもデイリーの新聞やタブロイド紙には勝てません」
「うちはうちのやり方がある」
「……やり方!?」
「あくまでそれを押し通すだけだ」
「……」
「犯人は死んだ藤田じゃない」
「……」
「……未司馬昂平であると」
「でも……」
「責任は俺が取る」
「……」
「こんな首でよければ、いつでもくれてやるさ」
「……編集長」
「藤田が未司馬昂平をかばっていたという情報もある。その辺りの情報を徹底的に精査するんだ」
「はい」と朋美がまた仕事に取り掛かるのであった。
藤田の遺書にはもう一つの事が記されていた。自分の死後、葬儀などは一切執り行わないで欲しいという事だった。昂平はその藤田の希望に沿い、藤田の葬儀は執り行わない事に決めた。
【思い……きっと、それが一番大切で……死者を思う心がきっと、一番大切なんだと思う……忙しいのにとおざなりに式に出席し、それで、死者への義務を果たしたと自己満足する。そんな葬儀だったとしたならば、然したる重要性や必要性はないんじゃないか】
と、昂平も常々、そう思っていたのであった。




