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彼女の消えた、春。  作者: 日下真佑
11/23

11迷子

いつもありがとうございます。

今日もよろしくお願いします!

 瑞希の故郷は、長閑な雪国の田舎町だった。

まるで近所の人達が、親戚みたいに仲良しで、お互いを尊重して、温かい思いやりに溢れていた。

なのに、この街の人達は何なのだろう?

都会の近くで買い物や外食には便利だけれど、大人も子供も自分勝手で恐ろしく冷たかった。クラスメイト達も、田舎から転校してきた瑞希を馬鹿にして、ロクなことを言わない。

だからずっと、誰とも仲良くしないで過ごしてきた。卒業までずっと、友達0人でも構わない覚悟だった。それなのに、四月から担任と副担任になったこの、オジサンコンビがやけに気になる。

中田先生はまるで、少年みたいに真っ直ぐで不器用だし、甘川先生は気が利いてスマートな振る舞いが自然にできる、ちょっと危ないタイプだ。そもそも異性に全く興味の無い瑞希にとって、どちらでもいいはずななのに、何でこんなに意識してしまうのだろう。

やはり、二人ともこの辺りの出身なのに、とても温かくて、優しいからかも。と、最初は考えた。

でもやっぱり、それだけじゃない。

小さい頃からそうだったように、瑞希の中の別の人格が、二人のことを、気に入ってしまったのかもしれない。

美祈みのり未花みはな

幼い頃から一緒にいる、二つの人格。

二人は双子で、お姉さんで大人びていて、艶っぽい伏せ目がちな子が美祈、くりくりした目の天真爛漫だけど、泣き虫なのが未花。

人格が入れ替わると、何故か雰囲気や行動だけでなく、目元まで変わることを知っていた。

幼稚園の遠足で転んで顔に怪我をした時、未花が出てきてサイレンみたいにギャン泣きして、先生達を困らせたっけ。小学生になってからも、美祈の目で男子を見ていたら、スクールカーストの上の子達から、いじめられかけたこともあったな。

でも、もう大丈夫。

思春期になってからは、これらの人格のコントロールを、ちゃんと瑞希ができるようになっていた。クールで頭の回転が誰より速い瑞希は、痛みに強く、口も立つので、未花や美祈みたいなトラブルとは無縁だった。

しかし、そんな瑞希にもどうしようもできないことが一つだけあった。

それは、この体だ。

この体は、強靭なメンタルとは裏腹に、とても脆かった。



いつもお話を読んでくださいまして、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いします!

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