マヤのクラスで…
私は帰る前に、マヤの教室の前を通りかかった。
うっすらと聞こえてきた声に驚きを隠せなかった。
「マヤって女と付き合ってんの?ヤバ」
「えー、まじ?どうなのよ?マヤ?」
その声の主は、学年でも目立ってるギャルグループの子たちだった。
マヤは誰にでも好かれるタイプ。
きっと今まで、クラスのギャルの子たちとも、うまくやっていたのだろう。
しかし、何を見たのか、ギャルの子たちは、マヤを囲って笑いものにしていた。
マヤは俯いたままだった。
なんで何も言わないんだよ!
そんなわけないじゃん?って言っちゃえばいいじゃん!
私はマヤにいらだった。
マヤはギャルたちをギッと睨みつけて、走って教室の後ろから出て行った。
「なんなん?マヤ?」
「今のウザくね?」
「女と付き合ってんの、マジなんじゃない?」
「それウケる」
ギャルたちの会話は耐えられるものじゃなかった。
でも、私にはどうすることもできなかった。
ふとマヤの行方が気になって、走って校門を出た。
マヤは帰り道の公園のベンチにちょこんと座っていた。
私はマヤを見つけても近づけなかった。
マヤが何を考えてるのかわからなかったから。
マヤならあの場をうまくやれたはず。
私は、マヤを見てみぬふりをして帰ろうとした。
「サニー?」
後ろから弱々しく私を呼ぶ声がした。
もちろんマヤだった。
マヤだったけど、いつものマヤじゃなかった。
その時のマヤは、目が潤んで、弱々しかった。
気づいたら、抱きついていた。
「サニー?」
「あ、えっと、大丈夫かな、って、思って…」
「サニー!会いたかった!」
マヤの反応は意外だった。
私は本当に、何に対して不安を感じていたのだろうかと思うほど、マヤは私を強くハグしてくれた。