サニーとマヤのプール
夏休みも中盤。
私たちは予定通り、プールに行くことにした。
「私、実は日本のプールって初めて。」
「あ、そっか。体育の授業くらいだもんね。」
「ネットで見たけど、チョー楽しそうなところだね。」
「うん。チョー楽しいよ。」
私たちはルンルンでプールへ向かった。
お互いに水着を見せ合う。
「サニーのめっちゃかわいい!どこで買ったの?」
「え、ネットだよ、へへ。マヤこそかわいい。」
マヤはかわいいと言われることがあまり好きではないのに、つい言ってしまった。
でも、この時ばかりは少し照れたような顔をした。
二人で大きな浮き輪を膨らませて、流れるプールに一直線に向かった。
「ほら、サニー早く!」
「冷たいっ」
真夏なのに、プールの水はしっかり冷たくて、少しためらいたくなる。
でもマヤと一緒にいられるのがうれしくて、そんなことどうでもよくなる。
まぶしすぎる日差しに、反射する水面。
水の音と、周りのはしゃぐ声。
そして、目の前には、大好きなマヤの笑顔。
(ああ、マヤといられるのもあと1年半か...。)
急に胸が締め付けられる。
鼓動が早くなる。
「マヤ...」
「ん?どうした?」
「...ううん。なんでもないよ。」
本当のことを言ったら、きっと私の前からいなくなってしまう気がする。
だから、この気持ちに気づかれないうちに、アメリカに戻らなきゃ―。
楽しい時間というのはあっという間だ。
帰りのバス。
二人とも寝ていた。ふと、目を覚ますと、マヤは私の肩にもたれかかっている。
なんかうれしかった。
特に意味のない行動だけど、私にとっては、すごくうれしくて、胸が苦しかった。
私はつい、マヤの頭をなでてしまった。