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無双させて下さい  作者: にのまえはじめ
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嘘を吐いている。

只その一言が、この場では大きな意味を持つ。


「取り敢えず、この能力の真偽を証明したいと思う。


今からカードを人数分配る。

それに真か偽のどちらかを書いて、此処に真と書きましたと言ってくれ。


そうすればこの能力の真偽が分かるだろ?


俺の能力は嘘でも頭の回転が速い程度で済むが、こっちの能力はそうもいかないしな。」


そうして、三分後。


「本当だ。全部合ってる。」


「却説、本題だ。


取り敢えず、彼女をどうするか案を出して欲しい。」


そう言うと、その大半が悩み始める。

最初に口火を切ったのは大柄な男だった。


「殺すべきだと思う。

俺らの命が懸かってる状況で、裏切り者に情けをかける余裕は無い。」


次に、主人公っぽい少年(青年?)が声を上げる。


「俺は、信じてみようと思う。」


そこで俺は一言発する。


「言い忘れてたんだが、此処での判断が俺ら全員の生死に直結する。

安易な信頼は、集団自殺と同じだと思ってくれ。

それでもなお信頼すると言うならば、それに足る根拠を提示してくれ。」


これは、狡いやり方だ。

こう言ってしまえば信じるということは簡単に言えなくなる。

それに、この短時間で信頼に足る根拠を見つけるのは非常に困難だろう。

この言い方は、要するに彼女を処罰する方向への誘導だ。


それをこのタイミングで言う。

それは彼の意見に反対すると、表立って言ったに等しい。


「……。」


それを分かったのか、一旦押し黙る。

しかし、彼の仲間(ハーレム要員?)が苦言を呈す。


「ちょっと待ってよ。

こんな直ぐ根拠なんて出せる訳ないじゃん。」


それに対し、これ見よがしに大きな溜息を吐き、説明する。


「じゃあ根拠が見つかるまで待てと?

その間に此奴が国へ報告したら?


この国は、モンスターを容易く生け捕りに出来る軍事力がある。

鍛えても居ない、戦場の空気も知らない、挙げ句の果てに命を賭けた事もない若造……

違うな、雑魚なんて簡単に処分出来るんだよ。


だから!今此処で!

現時点での状況で処分を決めなきゃなんねえんだよ。


それとも何だ?

あんたらの不確かな感情論で、俺ら全員命を擲てっつーのか?」


その言葉で、全員に暗い雰囲気が纏わりつく。


「俺は、殺すべきだと思う。」

「それでも!それでも……」


「おし分かった。

全員で、多数決を採らないか?


殺すべきか、生かすべきか。


それなら納得できんだろ?」


「クッ…

分かった。」


「先ず最初に、改めてそれぞれ一分メリットをスピーチする。

それから決を採って、その結果で彼女の処分を決める。


これで良いか?」


「ああ。」


「先攻後攻、好きな方どうぞ。」


「それじゃ先言わして貰う。



良いか皆!

今此処で彼女を殺そうものなら、戦力がかなり減るんだ。

しかも、彼女から情報を得ることだって出来やしない。


そして何より、


皆は人を殺したいか?

俺は殺したくない!

出来ることなら人殺しにはなりたくない!


当然だ。

俺達は日本人なんだから。


だから頼む、皆俺に賛同してくれ!


助けたいんだ!」


それで、スピーチは終わりだった。


「今度、俺が言わして貰う。




俺が言いたいのは一つ。


生きたいか、死にたいかだ。


俺は死にたくない。

もし彼女を解放すれば、どうなる?

殺される。


なあ、量りにかけてみてくれ。


自分&etc.の命と、見ず知らずの赤の他人の彼女。

どっちが大事だ?


良く考えてくれ。」


投票の結果、此処にいる13人(俺含む)のうち、9人が俺に賛同してくれた事により死刑(私刑でもある)が確定した。


「それじゃあ死刑を執行する。

筋書きはこうだ。自己紹介の時、些細な切欠で口論になり、彼女が俺に殴りかかる。

俺は、えーと……すみません、名前を聞いても?」


巨漢の人に名前を聞く。


「田中だ。田中とでも呼んでくれ。」


「はい。

俺は、田中さんに背中を押されて助かる。

が、その衝撃で田中さんの剣が倒れ込み、勢いのまま突っ込んだ彼女の右眼球にクリティカルヒット。」


少し間を開けて、失笑しつつ次の文を発する。


「眼球を貫き通し、そのまま剣は脳髄まで到達。


それにより死亡。」


「後処理ですが、この騒動でパニックになった魔法使いの方が魔法を乱射。

証拠隠滅、盗聴機録音機の破壊、部屋の修理費による国への嫌がらせを兼ねています。」


そう言って、田中さんから剣を借り、彼女の右目に突き刺す。

そのまま全体重を載せ、彼女の脳天を貫く。


死体を横に倒し、あたかも先程の筋書き通りの事が起こったかの様に見せる。


「魔法使いの方、魔法の乱射をお願いします。」


こうして彼女を殺し、ストーリーは漸く幕を開ける。

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