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海洋神話 rumbling of the sea
海が沸騰した。
海面が干上がると秋には海が消え失せた。
そして千回目の冬に激しい雨が降り始めた。
次の千回目の春には水と空だけの世界へと変わった。
数多照らす古い神々の議りにより二柱の神である空の神プルリヤと海の神イルルヤが統一した世界が悠久に約束された。
だが、プルリヤとイルルヤはとても仲が悪かった。
二柱は毎日のように言い争いをした。
怒声は幾重にも重なる光になり、大地を隅々まで照らし、雲は消えた。
大地は穢されてしまった。
その様子を見て胸を痛めたイルルヤが水面を尾鰭で叩くと、水の中から一つの巨大な島が生まれた。
二度目に大きく尾鰭を叩き付けると飛沫が水面に浮かび、十二の小さな島が生まれた。
十三の島をいつしか皆 ホルヴィラップ と呼ぶようになった。