表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/88

御影①「あなたを頼りにはしていない」


 I.D.への入会手続きを終えた私は、その翌日に再び会議室0へと呼び出されていた。

 昼前に遠矢さんから電話があり、I.D.メンバーの顔合わせを兼ねた集会があるから部室に来るように、といつもの調子で言われたのである。

 あのゆったりとした口調の裏で、彼が本当は何を考えているのかは、私にはまだ分からなかった。


 部室棟の前まで来ると、そこで隠君に出くわした。

 彼は涼しい顔で私を見ると、なんとなく腹の立つ笑顔をこちらへ向けた。


「やあ藍原さん。僕だよ」

「おはよう隠君。今日からよろしく」


 三日目にしてやっと隠君のペースが掴めてくる。

 要するに、彼は適当なことばかり言っているに過ぎないのだ。

 いちいち一言一言に反応していてはキリがない。


「無事入会できたみたいでよかったねー。一回生は今のところ僕らだけだし、助け合っていこうじゃない」

「そうね。あまりあなたを頼りにはしていないけど」


 二人でエレベーターに乗り、六階へと上がる。

 そう言えば、私たちの他にはもう、一回生はいないのだろうか。

 確か八雲さんの話では、三回生は三人、二回生は五人ということだったが、このままだと一回生は二人になってしまう。


 いやしかし、入会条件が条件だけに、そうそう入会を果たす者はいないのかもしれない。

 そもそも私たち以外に入会希望者自体、いたのかどうかも不明だ。

 一応勧誘活動は行っているようだったが、成果はあったのだろうか。


「あのさー」

「なに」

「一昨日、廊下ですれ違ったとき、ちょっと泣いてた?」

「泣いてないわ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ