異世界係は街に行きます Ⅶ
「まずは自己紹介するにゃ。ウチはバステト。この同業組合の主人にゃ。君たちは?」
「私は琴姫優華です」「熊宮雅刀です」『成瀬美結莉よ』
「一人だけおかしな所から声がしないかにゃ?」
「この人たちは『かがく』とか言う技術で別の世界から来てるのよ。だからその不可視の声も『かがく』らしいわ」
それを聞いたバステトは考える仕草をとって、数秒して発言した。
「ウチが興味惹かれる話が聞けたと思ったら代金はいらないにゃ」
「それはどういうことですか?」
唐突に代金の話になったので琴姫は困った。
「表向きは同業組合、裏では情報屋をやっている……ということか?」
熊宮は思考を巡らせ、言葉から分かることを言ってみる。
「そゆことにゃ」
「しかし、何故分ける必要がある? 冒険者だって情報必要だろうし、裏ってことはあまり知られてないって意味だよな?」
冒険者は基本的にモンスター退治で金を稼ぐ。皮などの素材を商人に売却するのだ。それには常に死と隣り合わせの状況があるのだ。あらゆる情報を提供した方がいいだろう。
「熊宮は勘違いしてるねー。同業組合ってのは依頼の仲介役であって情報売買をしてるわけじゃないのよ。それに情報屋ってのは、その情報によって値段が変動する。つまり、その情報に値するだけの報酬を払えない人間に教えることはないって意味よ」
熊宮の考えを正したのはピクシーだ。
「ピクシーが言ったことの通りにゃ」
『人件費の問題かなあ』
成瀬がボソッと言う。
「人件費ですか?」
『見たところ、情報伝達は伝書鳩レベルみたいだし。だから情報屋は生命の危機を感じるような潜入とか、身を削ってる場合が多いんじゃない? 違う?』
「成瀬って言ったかにゃ。なかなかな慧眼にゃ。そう、ウチら情報屋は命賭けてるにゃ。だから必然的に金額アップするにゃ。もちろん情報交換でもいいにゃ」
日本人である琴姫や熊宮からすれば情報は簡単に共有でき、むしろ拡散され過ぎて問題になるくらいのものであるため、情報に命を賭けるという概念がなかった。
「ってウチが情報与えてどうするにゃ」
――――情報屋なのに大丈夫なのかなあ……
「しかし、成瀬さん、私たちは何を聞こうとしてるのですか?」
『ひめちゃんが最初に見たアレのことよ』
「あれ、あれ…………あ、分かりました」
「俺にはアレが何かはわからないが、まあ俺も答えられることがあれば何でも聞いてくれ」
ピクシーは琴姫たちが何を話すのか関心を高くしている。




