表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の歌  作者: 花散里*
3.
14/19

#13

その頃から、私はなるべく女らしさを感じさせないように振る舞うようにした。

長く伸ばしていた髪も短く切りそろえて服もスカートは全部捨ててパンツスタイルに切り替えた。

本当は優しい言葉をかけてあげたくてもわざとそっけなく接したりもした。

私とあたしの違いにはなかなか慣れることができなかった。


でも、その方が、小僧は警戒せずに私を見てくれたから。


小僧は元の彼とはかなり違っていた。

けれどたまに、少しだけ小僧が彼に見えることがあった。味覚が子供っぽいところも、ね。



そんな小僧が少しづつ変わっていったのはあの日から一ヶ月も経っていない頃だったと記憶している。


「なぁ姉貴。姉貴はさ…好きな奴とか、いんの?」


男がこの言葉を使うのは、少なくとも少しは好意を抱いている相手に限られていると何かの本に書いてあった。


そんな本も読むのかって?意外?そうかしら。



漠然と、小僧は「姉貴」のことが好きなんだなぁと悟ったわ。

それ以前にも、ひっかかることは何度かあったのだけれど。


あんなに彼女一筋だった人が、あっという間に違う「女」を見ている。


あぁ。やっぱり彼ではないんだな。


私を見て。私だけを見てほしい。

そう願って生きてきたのに、彼が見ているのは私ではないあたしだった。



無理だったの。

彼と小僧が別人だなんて私には思えなかった。

細く整った鼻筋も長く伸びた睫毛も薄く形のいい唇も、全部全部、彼のものなんだもの。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ