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秀才彼女とバカな僕の物語  作者: Takuya
第零章 プロローグって大切だよね
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「沖田・・・・私は君の未来が心配だよ」


 僕は先生の未来の方が心配ですけどね。三十路を手前にして独身とは先行きが不安だ!・・・・・ってちょっと何睨んでいるんですか?まさか先生読心術でも使えるんですか!?ちょっここ職員室ですよ!お願いだからその手をおろしてぇぇぇぇぇ!!


「なにか良くないことを思われていたみたいだったのだが・・・・ふむ本気はさておき」


 本気だったんかい。そこは『冗談』はさておきでしょ・・・・


「なんなんだい?君のこのテストは?」


 そう言いこの独身三十路先・・・おほん、三十路には到底見えない露中先生が四枚のテストを僕の前に出す。教科は現代文、数学、英語、化学の四つだ。


「どこからどう見ても完璧じゃないですか」


 僕ははっきりと肯定する。前に出されているテストは誰が見ても酷いものだ。点数は赤点だし、四つの内三つは一桁という快挙まで成し遂げているちなみに一番マシなのは英語で十六点ね、いやー記号って素晴らしい!


 だが勘違いしてもらっては困る。酷い点なのは他人から見たらの話だ。僕は今高校二年生で、このテストは二年生の初めに行われる中間考査というものだ。ちなみに一年生の最後に行われた学年末考査ではこの点数を下回っていた。


 まあ学年末考査の点数が悪かったのは記号問題がほとんどなかったのだ。僕の最強のサイコロ鉛筆が通用しなかった。前回の悲惨さに比べたら今回は出来ている方だから良しとしよう。完璧だ。前回の自分を超えたのだから確実に僕は成長している。


 だが露中先生は額に手を当てながらだいぶ悩んでいる様子だった。はて、ここまで悩む理由がわからないな・・・


「君は自分を正当化しすぎではないのか?」

「嫌だなあ先生、僕はこれでも落ち込んでいるんですよ」


 だって追試テストがあるもん。


「そうは見えないのだが。それとこのテストの点はどういうことだ?」


 露中先生はファイルから物理のファイルを取り出す。物理のテストにはペケがついていない、要するに全問正解の百点満点。うむ、我ながら会心の出来だ。


「ついにカンニングまでしたのか君は・・・」

「ちょっとそれは意義あり!心外です!僕はカンニングなんてしていません!!」

「だまれ」


 僕の講義は虚しく先生の冷たい一言でばっさり切られた。酷いよ。あんまりだ。


「おかしいのではないか?物理だけ百点なんて」


 本当に百点取ったんですってば。なんで信じてくれないかな・・・・・これだから独身女性は困る。


「お・き・た、また変なこと考えているんじゃないだろうな?」


 ひっ!目が怖い、怖いよ先生!それと今後僕には読心術を使わないでくださいお願いします。


「まあそれは嘘だ。物理担当の下平先生が、『沖田君は去年から物理はこのぐらい点数を取っていますよ。物理だけに関してだけで言えば彼は優秀だ』って言っていたからな」


 下平先生・・・・・あなたが物理の先生で良かった!!


「いつも三十回は見直しているとも言っていた」


 前言撤回だ。下平の野郎、どれだけ僕を信用していないんだ。


「なぜ物理だけこんなに点数が良いのだ?」

「なぜって言われても・・・単に物理が好きだからです」


 好きなことには本気を出す、それが僕沖田太陽だ!あっ、今初めて僕の名前を言ったかも。


「はぁ~君は本当に不器用なんだな。どうして他の教科にも時間を使わない・・・・・」


 露中先生は、僕が物理に費やしている時間が相当な量だということに気づいたんだろう。それだけ時間を費やすくらいなら他の教科にも回せとおっしゃっている。その通りだ。でも僕は物理の勉強を止め、他の教科を勉強しようとした瞬間プツッっと集中力が切れるのだ。


「沖田、君はいい子だ。君の担任をして一ヶ月と少しで君は悪い子ではないと断言できる。・

・・・・少々最近言動いや、心で思っていることは耳に障るが」


 先生読心術を使えること認めてないですか?


「だからもう少しきちんと勉強してみろ。物理の勉強を怠るなとわ言わない。その倍他の教科に時間を費やせたなら君はもっと成績が上がるはずだ」


 露中先生は、どうだ私教師らしいこと言ってるだろという目で僕を見てくる。それが出来るのなら僕はこんなに苦労はしていない。そもそもこの学校にだって通っていない。


「一応頑張ります・・・・・」

「一応ではダメだ。今ここできちんと宣言してみろ」

「僕沖田太陽は次のテストを頑張ります!!」


 急に声のトーンが上がった僕を周りで自分の仕事をしていた先生達が見てくる。さぞ僕は今馬鹿にされているんだろうな、視線が痛いよ視線が!


「ところで君はどうしてこの学校に受かった?この成績を見る限りでは不合格でもおかしくない、いや間違いなく不合格になる成績だぞ。その辺のことについても聞いておこうか」

「えっとまずこの学校を受験したのは全てのテストがマークシートだと聞いたんで・・・・」


 あえて目を合わせず遠くを見ながら僕は答える。この人に嘘は通用しないからな、事実をきちんと話そう。とはいっても捏造するだけの理由なんてありはしないがな。


「・・・・呆れた。じゃあ君は勘だけでこの学校に受かったというのか?」

「そういうことになりますね」


 実際僕が一番この学校に受かった時、驚いた。そりゃ中学校の先生や両親も相当驚いたが、僕の驚きはそれを遥かに上回っていただろう。驚きすぎて呆然とし、気づいたら合格者一覧の張り紙が剥がされ、掲示板が真っ白に戻っていたぐらいなのだから。


 あの時使ったサイコロ鉛筆は今でも大事に棚の上に祀っている。それぐらいあの入試の時に使ったサイコロ鉛筆は神がかっていた。


「次回の入学試験からはマークシートにしないよう私が理事長に話しておこう」

「先生。それじゃあ僕みたいな志をもって受験を受けに来る未来の後輩たちに失礼だと思います」

「だまれ、君みたいな記号に頼る生徒は今後一切いらない」


 それはあんまりだ。


「ところで進級の話だが・・・・まさか沖田お金で解決したんじゃないだろうな?」

「違いますよ!一体僕をどんな目で見ているんですか!!進級については普通に進級テストを受けて合格しましたよ」


 この学校の変わったシステムの一つとして、進級テストというものがある。これは僕みたいな不良ではないけど勉強ができない生徒に与えられるものだ。その年の成績が進級できないと判断された場合のみ適用される。この進級テストは担任の先生の推薦かつ、担当教科の了承を得られたら誰でも落第者はテストを受けれるのだ。自分で落第者って言っちゃたよ・・・・・

。とにかく!全てのテストの追試導や課題提出を真面目に取り組んだ僕は、割と先生方の評価も良く、すんなりと進級テストを受けることが出来たのだ。


 しかもなんと!このテストは全てマークシートという神のテストだったのだ!僕はこのチャンスを確実にものとし、見事二年生の進級を果たせたのである。


「はぁ~最後まで君は鉛筆頼りだったんだな・・・・・」


 今日何回目かわからない溜息を露中先生はつく。そんなに溜息ばっかりだと、顔がしわだらけになりますよ。

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