試練5:一つめの秘宝玉
ボク達は特に妙な部屋にもぶつからず、ひたすら通路を歩いていた。だけど、通路にはさっきのグランドアーチがわんさか出てきて大変だった。
ただ、幸いにも(さっきの森ほどじゃないけど)魔力は何とか回復できたから、まずボクがファイヤーを掛けて相手に少しダメージを与えて、すかさずレイズがファイヤーで焼き尽くす、という連係プレー(?)でボク達はすいすい進んでいった。
しばらく進んだ所で、また広い部屋に出た。ただ、他の部屋と違ってこの部屋は、なんだか不思議な感じがする。
「………この部屋、魔力を強く感じる。聖域かなんかなのかしら?」
「へぇー。確かになんだか体が楽になったみたい」
ボクは、魔力が少しずつ体にみなぎってくるのを実感した。
そして、部屋の奥に台座のようなものを見つけた。
「あ、あれなんだろう?」
ボクはそれに駆け寄ってみると、その台座にはちょうど手のひらに乗っかるぐらいの小さな玉が置いてあった。透明な玉の中には、赤っぽい煙が渦巻いている。
「…これが、秘宝玉か……」
「へぇーっ。これがそうかぁ…………」
レイズも近くに来て、秘宝玉をしげしげと眺めていた。
「意外とあっさり手に入っちゃったね」
ボクはレイズに言った。
「当たり前でしょ。アストより魔力もずっとある私が付いているんですもの。当然だわ」
「…………それもそうだね」
秘宝玉を手に入れると、またボクらはもと来た道を戻っていった。
行きの道と同じように、帰り道にもグランドアーチの達がボクたちを邪魔してきた。当然行きと同じように、ボクとレイズの連係プレー(?)でどんどん進んでいったけど………、一つ変わったことがあった。
「ファイヤー!!」
ボォッ!!
『あらあらあら………』
ボクの放ったファイヤーで、あっという間にグランドアーチ達が気絶してしまった。
「…アスト、なんだか突然強くなったわねぇ…」
そう、これだった。
「うん……どうしてだろう?」
ボクはレイズに尋ねた。
「あぁ、それはさっき手に入れた秘宝玉のせいよ。あの魔力が秘宝玉を手にした受験者に注がれてるんじゃないかしら」
「へぇ……そうなんだ」
「…それくらい気づきなさいよ」
行きよりも順調に進んでいったボクらは、あっという間に入り口が見えてくるところまでやってきた。そして、あのやけに広い部屋へと足を踏み入れたときだった。
ドォォン!
『!?』
突然の大きな音にボクらは驚いた、と同時に、入り口と、秘宝玉の台座へと続く道の通路がふさがれていた。
「な、なに? 突然?」
レイズがそう言ったとたん、神殿のすべての明かりが消えた。ボクは、レイズの姿がまったく見えなくなってしまった!
「レイズ、そこにいる?」
「うん、……いたっ! ちょっとアスト、足踏まないでよ」
そんなことしていた時、突然部屋の真ん中にとても大きな魔法陣が現れた。ボクはそのかたちに見覚えがあった。
「ワープの魔法陣……? それにしてもかなり大きいわね………」
しばらくすると、ゴゴゴッッっという轟音とともに、とんでもないものがそこから現れた………!
『…………!!』
ボクらはあっと息を呑んだ。
現れたのは、背丈がボクらの何倍もあり、全身が石でできている人形………巨大なゴーレムが僕達の前に立ちふさがった。