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試練4:神殿にて

 ボクら二人は神殿の方へ向かってゆっくり歩いている。

 しばらくはさっきと変わらない状況が続いたけど、さっきレイズが言ったとおり、今はトレントよりもアーチに出会う数の方が多くなっていった。

 ただ、アーチは一発だけ矢を放つとすぐにどこかへ逃げてしまうからなかなか倒せなくて、むしろ矢をよけるのに精一杯だった。  

「ねぇ、………、ほんとにこの先に神殿があるの?」

 ボクはどこからか放たれた矢をかわしながら言った。  

「あぁ、……、間違いない、……、よ…」

 レイズも2発飛んできた矢をかわしつつ答えた。 

「さっき神殿近くにいたときも、……、こんな、…おっと……、状態だったから…」  

「…確かにアーチの数だけは多くなってる、……、みたいだね」

 矢をかわしていくうちに、ボクはもうこの状況にすっかり慣れてしまった。だけど、やっぱり進みづらいからそんなに急いで行く事は出来なかったけど。  

  

「ねぇ……なんだかずいぶん森が深くなってるけど、まだ着かないの?」 

「……も、もうすぐ着くよっ!」

 と、その時、急に目の前がぱっと明るくなった。

 ボクは一瞬目が眩んだけどただ日光が差してきただけで、深い所からは抜け出したみたい。 そして目の前には、ツタがあちこちに絡みついている、古めかしい神殿があった。 

「わぁー、ここかぁ………………………………」 

「ほらほら、ぼーっとしてないで、さっさと入るよ!」

 僕が思わず見とれていると、レイズが僕の手を引っ張った。  

「あっ、…ごめん」 

「まったく……用があるのはアストの方でしょ?」 

「あっ………そっか」 

「…………大丈夫?」  

 うぅ…大丈夫、かな………………    



 入ってみた所はとてつもなく広い部屋だった。ここを走り回ればかなりの運動になりそうだなぁ。

 ………でも、先へと続く通路はその広さに反して小さな通路だった。  

「天井も高いなー。………にしちゃぁ何もない…ま、いっか。さっさと進もう!」 


 




 しばらく通路を進んでいた、その時。 


 ビュンッ 


「うわっ!!」

 ボクはとっさに後方から来た物をかわした。 

「な、何今の?」 


 ヒュン 


「おっとと…………これは矢だ………ここにもやっぱりアーチがいるのかな?」 

 僕らは振り向くと、手に弓矢を持った3匹の小さな妖精が薄笑いを浮かべて立っていた。 

「へぇー、アーチが人前に出てくるなんて珍しいね」 

「ちがうっ! これはグランドアーチ。アーチの上級…って言えばいいかな」  

 ビュンッ  

『うわっ!』 

「あっははっ、いっくよー!」  

 バシィッ 

「おわぁっ、は、速いよー!」  

「ちょっとアスト! そんな事言ってるなら、早く何とかしてよ!」

 レイズが叫んだ。

 ……よーしっ。 いくぞ!  

「ファイヤー!」 


 ボワアァッ  


「うわぁっ、あっつーい!!」

 よし! うまくきいたみたいだ。

 だけど相手はまだ平気な様子だ。 

「よーし、もう一発! ファイヤー!」


 …………………  


「あ、れ……………?」 

「? ちょっとどうしたの?」 

 …………あ、大切な事忘れてた。 



「ボク………………もう魔力が残ってない………」



 ……… 


「ええええぇぇぇ!!!!!」   


「あっははっ、そーれっ!」

 ビュンッ 

「おわっ、………………ったくしょうがないなーっ! 私が何とかするよ!」  

 そう言うと、レイズはすかさず魔法を唱えた。 

「ファイヤー!!」 


 ボオォォォ!! 


 うわぁ!

 レイズのファイヤーはボクとは比べものにならない位の威力だ。

「ありゃりゃ…………」 

 あっという間に相手は炎に包まれて、黒こげになっちゃった。  

「すっごーい! レイズって魔法得意なんだね!」  

「まあね…………って、アストがとんでもなくへなちょこなだけだと思うけど」

 うっ…………… 

「…まぁよくそんな実力で魔導養成スクールの試験に受けられたね」 

「……まぁ、いつかもっと強くなるから」  

「いつかなんて言ってると、あっという間に過ぎちゃうよ」

 ううっ……………

 もうボクには言い返す言葉はない………  

「ほら、落ち込んでないでさっさと進むよ」  

「……落ち込んでなんかないよっ!」

 とは言ったけど……………

 ……本当に、ボク、強くならなきゃだめだなぁ…………………………

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