試練1:トレントの群れ
この話から本格的な(?)本編です。
サブタイトル前の数はここから数えていこうと思います。
「うわー。ほんとに森の中だなぁ」
今の言葉はどう聞いても変なんだけど、でも、これが今のボクの率直な感想だ。
ボクは最初、いくら何でも実際の森みたいにどっちを向いても木、木、木なんて状況はないよなぁははは。程度に思ってたけど……………
………甘かった!
さすが魔導養成スクールの入学試験。本当にどこもかしこも木、木、木、木、木、林、森……………
………実を言うと、ボクはちょっぴり迷ってしまった。
「うーん、この地図だとずーっとまっすぐ突き進めば出られるはずなんだけど……そもそも神殿を見つけないと意味がないし……」
ガサッ。
「? 何だ、今の……」
ボクは立ち止まって辺りに耳を澄ませた。
ガサガサッ。
……な、何かこっちに来る……
ボクはごくりと唾を呑んで、息を殺した。
…………………
…………あれ?
急に、物音がやんだ。辺りを見回しても、何もいない。さっきと同じ、木、木、木………
「なーんだ。ボクの気のせいか…」
ガチィッ!
!!
「な、何だこれは!」
ボクの体に、急に太い木の枝の様な物が巻き付いてきた。慌てて外そうとしたが、身動きがとれない!
「あっ!」
なんと、ボクが捕まった途端、周りの木が少しずつ動き出して、ボクの方に近づいてきた。
「こいつらは…トレントだ!」
トレント―周りの普通の木に紛れ込んで、敵を油断させてから一気に集団で攻撃してくる、木の魔物だ。幼稚園の授業で、幻影なら何度も見てきたけど、実際の姿を見るのは初めてだ。………どうやら知らず知らずのうちに、ボクはトレント達の群れに紛れ込んでいたのだ!
(確かトレントは炎系の魔法に弱かったはず………よーし)
ボクは右手だけを何とか自由にしたあと、周りのトレント達に気づかれない様に、そーっと後ろ手にやって………………
(いまだ!)「フレイム!」
ボワッ
小さな炎だったが、燃えやすいトレントは見事に火が移った。突然のことに、ボクを押さえていたトレントは暴れだし、ボクを締め付けていた枝がゆるんだ!
「やった!」
出られた、と思った束の間、ボクの目の前のトレント達が一斉に襲いかかってきた!
「うわっ!」
ボクは何とか一体のトレントの木の枝の攻撃をかわした。でも、すぐに二体目、三体目と襲ってくる。
(こんな状況じゃ一体ずつにフレイムをかけている時間はないし……………よーし、一か八か)
ボクはとにかく走って、なるべくトレント達との距離を遠ざける。そして、何とか落ち着いて魔法を発動させられる距離をとった。
トレント達が一斉にどんどん迫ってくる。
(まだだ……まだこの魔力じゃ……)
ボクは迫ってくるトレント達に気をとられないよう、必死に魔力の方に集中した。……そして、遂に一斉にトレント達が襲いかかってきた!
「今だ! ファイヤー!!」
ゴオォォ!!
ボクの放ったファイヤーの直撃をくらったトレント達は、お互いの枝にそれぞれ燃え移って、あっという間に黒こげになってしまった。
「今のうちに! ………」
もうほとんど魔法を使えない状態になったボクは、他のトレントがくる前に、全速力で走り出してこの場から逃げ去った。
ここでちょっとメール返信を…(こんな所でごめんなさい………)
「第二部分の誤字、修正しました; おっちょこちょいなもんで、つい見落としてました;;報告有り難うございます」
では、なるべく早めに更新しますので;よろしくお願いします!