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金魚鉢
冷たい硝子の水槽から
こぽり、月のあぶくがひとつ
大きな目で恋に恋する
真っ赤な金魚のお姉さん
こっちにおいで
きれいなひと
じくじく痛むきずあとも
全部晒して
こっちにおいで
それはまるで極彩色の硝子細工
長い睫毛を濡らしたのは、たぶんあのこの透明な感情
指先から伝わる熱が
もしかしたら、ほんとうの世界なのかもしれないのだから
この世のすべての美しいものを見て
それでもあのこは退屈そうだった
なら、いっそ
すべてを水の底に沈めてしまえばよかったのに
あのこはとっても、とっても不器用
そしていとおしい
金魚鉢から見えた夢
ずっと、歪んでしまっているのでしょう
こっちにおいで
いとしいこ
泥でよごれた尾びれの先も
全部晒して
いっしょに眠ろう