5.VSイケメン婚約者's
最首センセ、自覚する。
「お父様・・・それは、弓弦さん自体には何も問題はないということですの?」
「む・・・!」
今のセリフをひっくり返せばそういうコトになる、か。確かに。・・・でも、文音さんが霞むとかないだろ。だって“姫”だぞ、“姫”!護衛を引き連れて目立ちまくりじゃないか!!
「―――あの、宗島さん」
どんどんと話が進む中で、婚約者達の中から声があがった。おお、ようやく何かから受けたショックから復活したらしいな。(←無自覚)
「お、おお!そうだった、文音。そんな男はやめて、彼等のうちから1人お前にふさわしいと思える男を選びなさい」
「待ってくださいませ、お父様!何を仰っているのか、ご自分でわかってらっしゃいますの!?」
「そうよ!弓弦さん以上に文音にふさわしい方はいらっしゃいませんよ!!絶対に!!」
文音さんとお母さん連合と、お父さんが睨み?合う。
こういうのは首を突っ込まない方が良いんだよなー、何でもそうだが、無関係な第三者ならともかく、関係アリの第三者が首を突っ込むとろくなことにならないんだ。
とはいえ・・・一応、自己主張はしておいた方が良さそうだな。
「えーと、私としましては文音さんと今後とも良いお付き合いをさせて頂ければと思うんですが・・・」
俺が発言した瞬間、ギロリ、とお父さんと婚約者達に睨まれる。うーむ、なんか慣れてきたぞ。
さっきのお父さんのアホ発言のせいだな・・・。そんなに怖い人じゃないのかもと思い始めている自分がいる。・・・ま、何と言ってもカロリー学院で鍛えられてるからなー・・・。
「そんな年中入れ食い状態のような顔をして、文音さんが不幸になるに決まっているじゃないか!!」
モデル体型のスマートイケメンがビシッと俺を指差して叫ぶ。
あ、この人、どっかで見たことあるなーと思ったら政権与党の大物議員の秘書だか何だかで、次の選挙に出るとか言ってる政治家のタマゴの・・・えーと、新瓜さんじゃないか。すげー、本物だ。
っていうか・・・入れ食いって、女性がってコトか?・・・いや、俺は女性にモテたことがないんだが・・・。(←無自覚っ!)
「それはありえませんわ!弓弦さんは美麗過ぎて女性が近付きませんもの!!」
え、そうなのか?いやー、ナイナイ。
ただ単に女顔だからだろ。それに家事が趣味だし・・・学生時代に一度だけ付き合った女性に別れ際に言われたもんな・・・貴方といると女としての自信を失う、とかなんとか。
「いや、文音さんの見ていないところでは・・・!」
「私、ほぼ毎日弓弦さんのことを見ていましたわ!!職員寮で暮らしていらっしゃるから女性の連れ込みなんて出来ませんし、お出掛けになる時だって買い物か部活の引率くらいですわ」
・・・そこまで見てたんですか、文音さん・・・。あ、いや、それが当然みたいな顔しちゃだめですよ、一般常識的に言いますと、あなたの行為はストーカーそのものです。
「あー、いや、そのう・・・基本的に出無精なので・・・」
「出無精?・・・フン、ありえないな。俺だったら文音さんを好きな所に連れて行けるし、ウチが経営しているホテルの最上級スイートを用意することだって出来る」
おお、俺様イケメン・・・あ、この人もどっかの雑誌で見たな。有名企業の社長令息ながら、自身も中々のやり手だとか。んーと、名前は・・・あ、そうそう、東横院とかいったっけ。
んん?待てよ、この人等、その雑誌で特集組まれてたよな、今をときめくイケメン御曹司とかって・・・じゃ、残りのイケメンは大病院の院長の息子で医者の白遠って人か!
「東横院、一般人相手に何を競っているんだ、情けない・・・文音さん、私は決して貴方を苦労させませんよ」
おお、余裕があるな、この人。この人こそ王子様じゃないのか?当に、耽美イケメン。・・・あー!文音さんの手を取って甲にキスした!!
む。なんかムカつくな・・・。
パシン、と白遠の手を文音さんの手から払うと、俺は彼女の腰を抱いて自分の傍に引き寄せた。