3.お付き合い開始
遅々として進まない内容で、すみません。
こんな作品でも読んでくださる皆様に感謝感激雨霰!
正直言って断ることもできた。というか、断ろうと思ったのだけれど・・・なんか、この人を放って置いたら危険な気がして・・・なら、俺が責任を持って管理しようか、という気になった。
決して悪気があるわけではないと知っているし、彼女が俺のことを本気で気に入っていることも知っている。
つまるところ、絆されたのだ。あの純粋培養なお嬢様に。
だから、彼女が次に何を言い出そうともう驚かないぞ、と心に決めていた。―――決めて、いた、のだが・・・。
「というわけで、父にあって欲しいんですの」
「って、早ぇよ!!!」
「って、はえぇよ・・・とは、その、どこの言葉なのですか?」
いやいやいや・・・わかっちゃいたが。どこまで純粋培養なんだ!!!付き合ってすぐに親に紹介とか!・・・まぁ、わからなくもないが。
宗島先生の家は由緒正しい華族の血を引き、古武術の道場を経営している。何でも、警察や自衛隊の上の方に親戚がたくさんいるんだとか。怖ぇぇ・・・。
つまりはそういうことだ。お付き合いにも許可が必要なのだろう。
「いや、外国の言葉でも方言でもないです・・・すみません、庶民なもので、口が悪いんですよ」
「まぁ。では、今のは英語で言うスラングのようなものですか?」
「・・・いえ、そこまで悪い言葉じゃないですから・・・ただ単に、早すぎませんか、という意味で・・・」
「でも、お付き合いするのには両親の承諾がいるのではなかったでしたか?」
そりゃ、未成年の結婚の場合だ!!!と、ツッコミを入れられたらどれだけ楽だろうか。いや、ツッコミを入れても良いんだが・・・荒っぽい言い方をするとまた通じない可能性もあるな・・・。
「それは未成年が結婚する場合だけですよ。もちろん、結婚となれば成人していたってご両親に会うのは当然ですが・・・まだ、俺達の関係は・・・その、こ、恋人、なわけでしょう?」
「・・・結婚前提ではないお付き合いがあるのですか・・・?」
あー・・・わかりました。もういいです。彼女の中ではお付き合い=結婚前提なわけだ。ということは、ソレを了承した時点で“婚約者”なわけだ。
引き返せないなら、もう開き直ろう。どうせ、責任を持って管理するつもりなんだから、結婚も視野に入れるべきだった。はぁ・・・。
「会います。会わせて頂きます」
そう俺が答えたら、彼女はとても嬉しそうに微笑んだ。
「嬉しいです、ありがとうございます。最首先生」
「・・・あ、それですよ」
「?・・・どれでしょうか?」
キョロキョロと辺りを見回す彼女が可愛いなんて思えるんだから、俺も相当キている。
「呼び方ですよ。お付き合い始めたんですし、この際ですからプライベートでは名前で呼び合いませんか?」
「・・・・・・名前で呼び合うこと、憧れでしたの・・・(ぽ)」
ほんのりと頬を紅色に染めた彼女に、ドキン、と心臓が跳ね上がる。
む?何だ?この気持ちは?・・・まさか、これが、恋!?―――なわけないか。
「じゃあ、文音さんと呼んでいいですか?」
「あ、はい・・・弓弦、さん・・・(ぼっ)」
先程の比ではないくらいに顔を真っ赤にして、文音さんは俺の名前を呼んだ。うぉう、かなり恥ずかしいのだが!!
「あー、で、ですねぇ、その、文音さんのお父さんにはいつお会いすれば良いですか?」
「弓弦さんのご都合がよろしいなら、本日はいかがでしょう?」
「って、早ぇよ!!!」
「そうでしょうか?」
今度は学習したらしくツッコミはなかったが、不思議そうに首を傾げられる。うぐぅ。
「えー、その、ご実家は大丈夫なんですか?」
「はい。うちはいつでも大丈夫ですわ」
「そーですか・・・」
まぁ、嫌なことは先々済ませておいた方が良いか・・・相手が相手だしな。娘と付き合っているのに挨拶も無しか?とか言われるのも怖いし。
「弓弦、さん?」
考え込んでしまった俺を不安げに見上げる文音さん。・・・あー、くそ、可愛いな。
「わかりました、本日お伺いします」
「では、家の者に連絡しておきますわ・・・では、終業後、ヘルシー女学園の校門前でお待ちしております」
文音さんはそう言って、颯爽とその場を去っていった。
「あー・・・俺、ものすっごく流されてないか?」
今更だけどな!!!