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14.暗黒はやっぱり暗黒でした

暗黒同好会のターン・・・

「あ、千田先輩、つまみ食いはダメですよぅ―――って、聞いてない~!」


 ひょい、とポテトをつまみ食いした千田に、紫条がむ、と(ほお)(ふく)らませる。・・・その表情、異様に似合うな、乙メン・・・。


「うん、うまいうまい」


 千田は“普通にしていれば”明るくてクラスのムードメーカーになれそうなタイプだ。だが、忘れちゃいけない。どんなに人懐っこそうに笑っていても、奴は暗黒同好会だ。


「こっ・・・こっ・・・こっこっ、洸平(こうへい)、君?」


 白遠がニワトリになってる。“千田さんところの洸平君”が来てビビってるんだな。うん。


 五色が“千田が来るだけで嫌がらせになる”って言ったのも理解できる。っていうか白遠だけじゃなくて、他の2人も顔色悪いんだが、社交界での千田家の地位って・・・。


「あれー、白遠さんじゃん。こんにちはー」


「こ、ここ、こんにちは」


「へぇ~、噂の最首先生のライバル候補って、白遠さん達なんだ?」


 にっこり。


 笑顔が怖い。暗黒同好会のメンバーの笑顔が怖いっていうのは標準装備なのか?


「最首先生も大変だねー。五色先輩から聞いたけどさぁ、宗島先生から告白されたのに、ちょー妨害されてるんだってー?」


 くるん、と俺の方を振り返って、今度は人懐っこそうに笑う千田。んー、と?御曹司共に聞こえるように大声でってところがポイントなのか?


「妨害と言われれば妨害、かもなぁ。・・・あぁ、そうだ。千田も古渕が作ったマヨネーズ持ってけ。タッパーに入れてやるから」


「おー!作りたてのマヨ!・・・家庭部の作った料理って店で売ってるのより美味しいから、家でも好評なんだよねー、うちのシェフが嫉妬しちゃって大変なんだよ?」


「あー・・・嬉しいような、申し訳ないような・・・」


 千田のテンションが高いなぁ・・・絶対にコレは楽しんでるよなぁ。


 御曹司共も落ち着かない様子でこちらを見ている。自分達が散々馬鹿にして見ていた家庭部の活動を、千田家のお坊ちゃまが大絶賛しているんだから、当然と言えば当然か。


 しかし、顔色が青から白に変わってきているんだが、大丈夫か?あいつら。ここで倒れられると面倒くさいんだが。(酷)


「千田、このディップも味見してみてください」


「あ、じゃあ、いただきまーす!」


 スティックサラダ用のディップをスプーンで少しすくって差し出す五色に、千田が素直に応じる。


「どうですか?」


「五色先輩、これうまい!ちょーうまい!!」


「ふふ、でしょう?」


 確かに五色は御曹司共に何もしていない。何もしていないんだが、なんていうか・・・千田をだしにして、あの御曹司共に嫌がらせしてる・・・直接何かを言われるより怖いんだが。


 結局のところ、千田が来て以降すっかり大人しくなってしまった御曹司共は、実食の時間になるとそそくさと帰っていった。



***



「なー、先生。見た?あいつ等の顔。最後の方、真っ白になってたよ?・・・っていうかさ、なんで先生の対抗馬があいつ等なわけ?宗島の当主ってアホなの?」


 しゃくしゃく、と美味しそうな音をたててダイコンをディップに付けて食べていた千田が不意にそう言ってむすりと唇を(とが)らせた。


 楽しげにしていたもんだから“Out of 眼中”だと思ってたのに、意外と御曹司共のことを気にしていたらしい。


「いやいや・・・ほら、俺とかってバックに何もないだろう?」


「えー・・・今時、そんなの流行(はや)らないんじゃないの?イギリス王室とか天皇家だって一般人と結婚する時代だよ?」


 まぁそうなんだが・・・。


「それぞれの家の事情もあるだろうしさ」


「でもさー、アイツ等って家柄だけで、中身はフツーだよ?」


 千田、それ言ったらダメ。一応あの御曹司共は今をときめくイケメンなんだから!


「えー、今をときめいてるんじゃないんですかぁ?」


 紫条、わかってて()くんじゃありません。


「ふふ、まぁ、世間一般ではときめいてるんじゃありませんか?・・・カロリー学院に来たら自分達がどれだけ(おご)っていたか理解できると思って止めなかったんですが、まぁ、少しは思い知ったでしょうかね」


 五色・・・とにかく黒い発言を止めようか。


「なんか、気分悪りぃし・・・」


 古渕、ごめんな・・・おまえ、結構デリケートなんだな・・・。


「でもさー・・・本当の意味でせんせーの敵っていうか、大きな壁になってるのって姫のお父さんなんだろー?」


 羽部!!それはダメ!!言ったら、宗島さんがターゲットに!!!!!


「ですよねー。俺もそう思います。宗島先生のお父さんって、一体何考えてるんでしょうかね、なんか、失礼じゃないですか?」


 は、畑!!!お前まで(あお)っちゃダメ――――――!!


「ふむ・・・確かにそうですね。あの婚約者もどきをいくら(おど)したところで代わりはいくらでも出てきそうですし・・・大本(おおもと)を断つのは戦略の基本ですよね」


 あ―――!五色の興味が!!!


「ウン、アイツ等の相手つっまんないー。もっと大物を狩ろうよ!」


 千田ぁああああああ!!!


 どうする!!どうする俺!!早々に暗黒同好会が御曹司共から興味を失って、矛先(ほこさき)を宗島さんに変えちゃったよ!!!


「あ、あのだな、宗島さんは・・・」


「あ、大丈夫ですよ、先生。仮にも宗島先生のお父さんですし。そんな酷い目にはあわせませんよ」


 五色・・・先生はお前を信じてやりたい。やりたい、が。とても信じられねぇよ!!そんな何か(たくら)んでます的な顔してたらさ!!!


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