第二話
「ねぇ、楓は部活きめたの?」
放課後になるとマリがあたしの席の前にきた。
今日は散々だった。どの授業も説明、説明、説明!そーか、この後部活見学か~。
「ん~どしよっかなあ。体操とか?」
「おっ、私も体操いきたいっ」
マリが決定!と言いながらあたしの腕をひっつかんだ。
そして体操部に一直線で向かった。体育館につくと、体操部のところには一年生が山のように集まっていた。うわ、多っ!
先輩達はグニャリと体を動かす。柔らか!周りから感嘆の声があがる。あたしとマリはぽかんと口を開いていた。
「さて、次どこいく~?」
部活見学は一日に何度もまわれる。なのであたし達は違うところも見学する事にした。
「階段で休も~あたし体操にお姉ちゃんがいるから入るって決めてるんだよ」
「へえ、まあ休むか!」
マリは階段に座ると、はーっ、とため息をついた。そして言葉をつぐむ。
「はっきりゆーとレベル高すぎるっ!」
まあ、それは共感だな。あたしもできるか心配だもん。だけど体操しか入るとこないんだよなー。
「あれ、あんた達!」
聞き覚えのある声が響いた。振り向くと、やはり恵先生だった。
「あんたら、なにサボってんの?」
「や、行くとこなくて…」
マリがもう一度ため息をつく。すると恵先生が、ニヤリと笑った。
「んじゃあ、ついてきて!」
あたしとマリは、恵先生に手を引っ張られながらある部についた。
カンッ!
ピンボールが、ラケットと響き合うような音。一目で分かった。
卓球部だ。
見ると一年生は二、三人程度だ。恵先生はコツコツと前に出ると叫んだ。
「おら、拓也!体がなまってる!外周五周してこいやっ!」
「は、はいっ」
拓也と呼ばれた先輩が外へ向かった。先生は他の先輩も見渡す。え、もしかして。
「先生、卓球部の顧問っ⁈」
「ああ、そーだよ。悪いか」
それであたしらを連れてきたってゆーことは…、
「入れって意味だよね」
マリが代わりに答えた。それしかないよねえ…。あたし卓球なんなしたことないしっ!無理無理無理っ!
マリもあり得ないという顔で首をふっている。マリも初心者のようだ。でもま、見るとこないし。
とりあえずその日の残り時間はすべて卓球部の見学で終えた。
一週間もある見学は、すべて体操卓球につくした。そして仮入部。仮入部はウチの学校は二回しかない。だからまず、体操にする事にした。
「あー唯の妹?」
「はいっ、唯の妹でっす…!」
明るめにした方がいーのかな?と思い、高めの口調であいさつした。そして仮入部が始まった。
「いででででっ!」
あちこちで悲鳴があがる。そりゃそうだろう。なんせ、ものすごく痛いのだから。
体操部では柔軟を行った。足を開くだけ開いて、真ん中に体をたおす!これがものすごく痛い。
「はあ、はあ…」
マリも息が荒い。毎日こんな事してんのっ⁈三年生の先輩をチラリと見ると、前宙を軽々としている。鉄棒ではけあがりをしていた。もちろん柔軟性もあった。
「……。」
無理だな。直感で思った。あたしにここは合わない。
その夜
「楓!あんた、春にタメ口きいた?怒ってたよ?唯の妹生意気だーって」
は、ああああ⁈
あたしが生意気ィ?どこが!春とやら、てめえとしゃべった覚えはねーよ!おら。
とまあ、いろいろ思ったが心にしまった。
「へーどこが?」
「なんか『でぇ~す』とか言ってたって」
それタメ口にはいんのお?意味わかんねえ!しかもあれは明るい性格の方やりやすいかなーって気ィ使っていったんだぞ⁈
もー絶対体操部なんか入るもんかっ!
「って事でぇ~体操部はなしね!」
「…私もう親にも言ったのですが…」
「だーいじょーぶだあて!」
あたしは言いながらマリの背中をポンポン叩いた。マリはため息をついた後、じゃあどこにするの?と、あたしに問いかけた。
「えーと、あ、卓球は⁈」
「卓球ぅ⁈私した事ないよ」
「あたしもない」
そういうと、マリはやれやれ、と頷いた。やったあ!そして最終日の今日は卓球部に行くとこにした。
「お願いしま…多っ⁈」
見ると卓球部には十五人くらい一年生がいた。どーゆー事お⁈
「あら、伊吹、上野。きたのね」
恵先生が、あたしたちをみるなりつぶやいた。あたしはすぐさま恵先生のもとに駆け寄った。
「人数多くないですかっ⁈」
「そぉーなのよねぇ。いきなり増えてさ、追い出したいのよねぇ。だけど第一希望に絶対入るしさ
あ」
ため息混じりに恵先生はつぶやく。すごい追い出したいようだ。
まーそーだよな!
「あーでも伊吹さん達には入ってほしいわ!」
恵先生が、手をグッジョブさせる。じゃあ、あれだ
あたし、ここに入るしかないじゃん!






