小生とアケミ
小生は田中ヒロシ二四歳。
アイドルミカたんのライブ帰り道を歩いていたらとんでもない光景に巻き込まれた。
「アカプ! ベンチカ!」
「テレプ! テレプ!」
「……な、なんでござるかここをぉ!?」
それは非日常だった。
人々が弓矢や剣に槍さらには銃を持って殺し合いをしている地獄だった。
「ドルパ! ペンピカポ!」
「ヘルベン!!」
すると数名の兵士が小生の存在に気づき、銃口を向けてきた。
「な、なんでござる!?」
「ヘルピンポ!」
「えっ? 捕虜にする!?」
少しだけ何故か小生は目の前にいる人の言葉が分かった理由はわからない。
恐らく生存本能である事は分かった。
それから小生は逃げた。 ミカたんのポスターとフィギュア犠牲にして、サイリウムだけを強く握り、逃げて逃げた。
幸い、近くに森があり木を陰に潜んでなんとかやり過ごした。
「ふぅ。 大変だったでござる」
そうしてしばらく歩くと、少し大きな建物が見えた。
どこにも居場所がないので部屋を借りる事にした。
「……し、失礼するでござる!!」
そして部屋に入ると、異臭がした。
そして、しばらく歩きひとつの部屋に入ると白骨の死体を見つけた。
「ぎ、ぎゃああ!?」
小生はビビって、お漏らしをしてしまった。だが、なんとか呼吸をして机の上にあった日記を見つけた。
「こ、これは?」
小生がその日記を読むとそれは小生と同じくこの世界に転移してきた男の日記だった。
この白骨の死体になっている男は転生者だったらしく錬金術を学んだらしい。
幸い日記は日本語で書かれていたので小生にも読めた。
「……な、なるほど。 異世界召喚人はこの千國時代は資源でござったか」
この白骨の死体の少年の名前は佐藤ミツヒロと言うらしい。
サラリーマンで通り魔にナイフで滅多刺しにされ金品を盗まれて錬金術を嗜む夫婦の元に転生したらしい。
「……なるほどでござる」
さらに読み進めてみるとミツヒロは軍オタで、銃や盾の技術加工を広めてしまいそれが結果的に千國時代を作ってしまったらしい。 さらに読み進めてみるとキメラと人工生命体を作る資料を見つけた。
「こ、これは萌え萌えドールではないでござるか!?」
それは、変形ギミックを持った人工生命体である事が分かった。
「……お、面白い! 面白いでござるよ。 ミツヒロ氏!」
小生は決めた。 ミツヒロ氏が考え、研究途中の萌え萌えドール計画を引き継ぐ事を決意した。
「……く、黒歴史ではごさらんか!? ミツヒロ氏!?」
小生は萌え萌えドールについてさらに日記で見てみると名前をアケミと言うらしい。
なんなら中学時代に振られてしまった相手だったらしくそれをこの世界で作ろうと考えたらしい。
「でも、すごいでござるなぁ」
ほぼ、体は出来上がったらしいがコアとなるものがないらしく九十四歳で死ぬ頃に途中段階で死んでしまったらしい。
「……なるほどアケミ殿の体は作れても起動は出来なかったでござるか」
そう思って右手を見るとサイリウムを見つめた。
「……これ心臓にならないでござるか?」
そう言って小生は地下にあるアケミ殿の元へ向かった。
「え、エスエフではござらんかこれ!?」
小生が見た光景はアケミ殿がコールドスリープした姿でござった。
まるで御伽話の姫のようにアケミ殿は眠っていた。
栗色の短い髪にメイド服。 まさしくギャルゲーの幼なじみのビジュアルがそのままコールドスリープされていた。
するとサイネリウムが光輝き、アケミの心臓へと飛び込んだ。
するとアケミの体が光を発した。
「な、なんでござるか!? これは!?」
「んっ? ミツヒロ様?」
するとアケミが目を覚ました。
「……あれ? あなた様は?」
「しょ、小生は田中ヒロシ二四歳! ミツヒロ氏の研究を引き継ごうと考えているドルオタでござるよ!」
「……ミツヒロ様は?」
すると、アケミの声が震え出した。
どうやら相当ミツヒロ氏の事を思っているらしい。
「こちらでござる」
そう言って小生はアケミ殿にミツヒロ氏の死体を見せた。
「そ、そんな! ミツヒロ様!!」
するとアケミは白骨死体の元で泣き崩れた。
「……ありがとうございますヒロシ様。 お陰で私は目覚める事が出来ました」
そう言ってアケミは頭を下げる。
「いいんでござるよアケミ殿。 小生も嬉しいでござる」
泣いて頭を下げるアケミに小生は笑顔で返した。
「……ヒロシ様。 私がしっかりとミツヒロ様の研究成果が出ているかテストしてくれませんか?」
「もちろんでござる!」
アケミが涙を拭いて立ち上がると、小生に向かい笑みを向けた。
「まずは、錬金術を応用した肉体構築。 それと……繁殖繁栄が出来るかどうか」
「……は、繁殖って子供を作るのでござるか?」
「はい」
アケミの発言に小生は驚いた。
まさか子供を作ると言い出すとは、思わなかった。
「……私は異世界で言うホムンクルス。 デザイナーズベイビーと言われるものです。 その為始祖イヴであるとしたらヒロシ様にはこれから生まれる子孫のアダムになって欲しいのです」
そう言ってアケミは小生の手を握り、目を見つめた。
「……小生に出来る事があればなんでもするでござる」
「ありがとうございます」
こうして小生とアケミの生活が始まった。
「おはようでござる。 アケミ殿」
「おはようございますヒロシ様」
朝は、アケミの手料理を食べ。
「はぁ! やぁ! エネルギーカノン!!」
「おおーすごいでござるよ! アケミ殿!!」
たまにくる千國から来る偵察部隊を追い払うのと同時に、アケミの性能をチェックした。
具体的にアケミは腕を切り離し、その切り離した部分を剣や槍、そして銃などに変えたりそのまま銃に変換出来る機械生命体だった。
「ふぅ。 今日もミッションコンプリートです」
「おおーすごいでござるよ! アケミ殿!!」
「ふふ。 ヒロシ様よろしくお願いしますね?」
「が、頑張るでござる!」
そして夜は、一緒に入って耐水について研究し夜を共にした。
そんな生活を送って半年後にアケミは妊娠をした。
「……ヒロシ様。 子が出来ました」
「ほ、本当でござるか!?」
「はい。 早く見てみたいですね」
「そうでござるな!」
そしてアケミの子は順調に育ち、三つ子を産んだ。 全て女の子で、名前を長女はウラカ、次女をモモ、三女をキンカと名付けて育てた。
みんな綺麗な黒髪で可愛かった。
「ありがとうでござる。 アケミ殿。 家族が出来たでござるミツヒロ氏も喜ぶでござるよ!」
「はい!」
アケミはウラカを抱きしめて泣いた。
それからアケミは手を阿修羅のように手を増やしてウラカ、モモ、キンカを育てた。
五歳になるといきなりウラカは、「私、お淑やかなアパートの管理人になります」と言い出し、モモは「パパアタシはツンデレになるわ」と言い出し、キンカは「お、お父さん私はドジっ子になります!」と宣言した時は何事かと思いきや黒髪からみんな髪色が変色していた。
「ど、どしたでござるか!? ウラカ! モモ! キンカ!」
「はい。 お父さん。 私達はこれよりこの道を極めるべくプロになります」
「ふん! そうよ! これが私達が生きる道なのよ」
「ふぇぇ。 ごめんなさいお父さん!」
ウラカは薄紫の髪色に、モモは赤い髪にキンカは茶髪の髪に変色していた。
「……あ、アケミ殿こ、これは!?」
「はい。 どうやら私達の子孫は五歳つまり第一次思春期に入ると職業ならぬ、萌え属性を自己選択する定めがあるらしくて」
「そんなファンタジー設定ゲームな一族いないでござるよ!?」
「仕方ありませんよ。 私の胎でみんなミツヒロ様とヒロシ様の記憶を見ているんですから」
「そうなのでござるか!?」
アケミの発言に小生は絶句した。
「……まぁこれが機械人族でござるね」
「今なんと?」
「ん? だから機械人族と」
「いいですね。 これから私達の種族は機械人族です!」
「ちょ! 安直な名前でいいんでござるか?」
「いいんですよ」
そう言ってアケミは笑った。
その後小生と娘達は平和に暮らした。
たまに、千國の兵隊達が攻めて来たが、アケミ達が撃退した。
そして小生は七十四歳でこの世を去った。
その先は誰も知らない。




