43話 決意
レーヴェンは家に帰る道中、町に違和感を覚える
いつもより、重苦しい空気が漂っている
そんな気がしていた
レーヴェン「っ…」
レーヴェンは目の前の光景に困惑する
家の前に、人集りができている
町民「あっ!、あの子です、あの子がこの家の子供です」
人集りの内の1人が、レーヴェンを指差す
すると、1人の男がレーヴェンに近付いてくる
レーヴェン(あれは…魔法軍)
その男は、魔法軍の格好をしている
よく見ると、同じ服装をしている者が他にもいる
魔法使い1「君が、レーヴェン・ファイルかい?」
レーヴェン「はい…」
魔法使い1「私は魔法軍第2・・・」
レーヴェン「あの、父さんと母さんは…」
魔法使い1「……うん」
「君の両親には、殺人の疑いがかけられている」
家に帰ると、両親が逮捕されていた
レーヴェンはその事に驚きつつも、困惑や疑問はあまり感じていなかった
その後レーヴェンは魔法軍に呼び出され、何度も話を聞かれた
内容は勿論、両親の事である
レーヴェンは知っている事全てを、正直に話した
そもそも命の魔法により、思考はある程度知られてしまう
そのため、嘘を付いても意味がないのである
両親の逮捕から3週間後、
今日も魔法軍に呼び出され、支部に行く
だが、今日の取り調べは少し違っていた
魔法使い3「今日は君自身の事について教えてほしい」
「両親の事をどう思ってる?」
レーヴェン「どう…ですか」
魔法使い3「じゃあ、両親の好きな所は?」
レーヴェン「…母さんは、いつも美味しいご飯を作ってくれたり、僕が汚した服を洗ってくれたりして」
「父さんは、働いてお金を稼いでくれたり、僕と外で一緒に遊んでくれたりして」
「僕は、両親のそういうところが好きです」
魔法使い3「では、嫌いな所はあるかい?」
レーヴェン「強いて言うなら…僕が好きな事を好きになってくれない所です」
魔法使い3「なるほど、ありがとう」
「では次に・・・」
その後も質疑応答が続く
そして最後に
魔法使い3「では、人間の事はどう思う?」
レーヴェン「嫌いでした、ずっと」
魔法使い3「…」
レーヴェン「両親からずっと言われてきました」
「人間は知能が低くて、暴力的で、欲深くて、誰かを平気で傷つける」
「だから関わってはいけないと」
「いざ学校で人間と会ってみたら、」
「一方的に悪口を言ってきたり、仲間外れにされたりして」
「両親の言ってた事は間違ってなかったと思いました」
「だから、人間と関わることをやめました」
「でも最近、こんな僕に話しかけてくれる人がいて」
「その人と関わって、関わる事ができて分かったんです」
「僕は人間が嫌いなんじゃなく、嫌いだった奴が偶然人間だっただけなんだって」
魔法使い3「…」
レーヴェン「正直今でも、ほとんどの人間は嫌いです」
「でも、嫌いじゃない人もいます」
「それが、僕の今の気持ちです」
魔法使い3「そうか、よく分かったよ」
「今日の所は以上だ、お疲れさま」
レーヴェンは両親以外身寄りが無いため、魔法使いの孤児が生活する施設で一時生活をしていた
施設の職員「レーヴェン君!」
レーヴェン「どうしました?」
施設の職員「君の両親が、脱獄したって」
両親を含む一時拘束されていた魔法使い達が、脱獄した
だがそれは、魔法軍により直後に制圧された
魔法使いの脱獄半に限り、その場での即抹消が許可されている
レーヴェンの両親も、例外無く殺された
それだけで終われば、どれだけ良かっただろう
両親は外に出て、人間を殺し回っていた
その中に、アイナの父親がいた
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レーヴェンの腕を、植物が貫いている
その植物からナハトは毒を流し、レーヴェンを戦闘不能にした
レーヴェン(身体に力が入らない…)
(魔力も上手く操れない…)
ナハト「できれば魔法使いは殺したくない」
「君ほど優秀なら、尚更だ」
「これ以上抵抗するな、レーヴェン」
レーヴェン「…ならお前が降伏しろ」
ナハト「君はただ両親の罪滅ぼしの為に人間を助けているだけだろう?」
「レーヴェン、君はファーストシンボルとしての力や権力の全てを弱者救済に費やした」
「それでも、魔法使いと人間の溝は埋まらなかったろう?」
「もう誰かの幸せの為に生きる必要はない」
「自分の幸せの為に生きろ」
「君は幸せになっていい」
レーヴェン「駄目だ…私は幸せになってはいけない」
ナハト「いいや、この世界の命には、皆等しく幸せになる権利がある」
レーヴェン「…ならなぜ殺す?」
ナハト「それが私の幸せだからだ」
ナハト「君の幸せとはなんだい?」
レーヴェン「私の…幸せ」
レーヴェン(私は……私の大切なもの達に、幸せになってほしい)
(花に、魔法使いに……そして、人間に)
レーヴェン「そうだな、ナハト」
「お前の言う通りだ」
「私がどれだけ後悔しても、失ったものは戻らない」
ナハト「?」
レーヴェン「ならばせめて、今あるものを守りたい」
「私は己の幸せの為に、この世界を守る」
レーヴェン【斥力】「ヴィゴーレ・ドラッケン!」
レーヴェンを中心に、斥力が球状に広がり続ける
レーヴェン(魔力を制御できないなら、ただ全力で放出するだけだ!)
球状の斥力が、地面を抉りながら大きくなっていく
ブチブチ
過剰な魔力の使用により、レーヴェンの身体が壊れていく
身体の至るところから、出血する
レーヴェン(終わりか…)
(すまない…アイナ、ローゼ、皆)
(後は…頼む)
バーン
数十kmの範囲が、跡形もなく消し飛ばされる
同時に、レーヴェンの身体も粉々に砕けるのだった
地面からドロドロの何かが姿を現す
それは人の形となり、ナハトの姿となった
ナハト「残念だ」
【煉獄】「フレイム・インフェルノ」
ドーン!
辺り一帯が炎と熱気に包まれる
レイ「あなたは、俺が止める」




