39話 道具
レイは第三の眼の力で、過去の魔法使いの記憶を見る
なにか「やっぱり君達は、そういう風にできてるんだと思ってね笑」
モーゼ「は?」
モーゼ「どういうことだ」
なにか「言葉のまんまだよ」
「魔法使いの脳は、魔力を消費する事を求めるようになってるんだよ」
モーゼ「魔力を消費…」
なにか「そう」
「さっき話したように、私から溢れた魔力が人間の身体に変化を及ぼした、その結果生まれたのが魔法使いだ」
「君達の身体は、人間から大きく変化してる」
「魔力を体内で生産できるようになったり」
「その魔力を貯蔵できたり、他にも色々」
「その中の1つが、魔力を消費する本能が生まれたこと」
「君達が魔法に強く惹かれるのは、その本能が要因だよ」
モーゼ「………」
「仮にその本能があったとしても…それが魔法に惹かれる事に繋がるのか?」
「魔法を使わなくても、魔力は消費できるぞ」
なにか「繋がるよ」
「空腹を満たす時、どうせなら美味しいものを食べたいでしょ?」
「君達が魔法に惹かれるのはそういうことだよ」
モーゼ「……」
「お前は、奴隷として生きるために生まれたんだ」
これは、モーゼが耳にした最初の言葉である
自分の意思を持つことさえ許されない
そんな生き方を、彼は20年も強いられた
そんな彼が、初めて持った自らの意思
それが、魔法に対する愛だった
彼は魔法を通して、自分の意思で生きるとはどういう事か、その一端を理解した
そう思っていた…しかし
"なにか"との会話で、彼に迷いが生まれた
自分の意思だと思っていた魔法への愛は、欲を満たすための物に過ぎないのでは、
自分は今、欲の奴隷なのではないか、と
その疑念が、彼の心を確かに傷つけた
なにか「どうしたの?、黙っちゃって」
モーゼ「いや……なんでもない」
なにか「本当に?」
モーゼ「本当さ、ただ考え事をしてただけだ」
なにか「そうなんだ、何を考えてたの?」
モーゼ「え?、あぁ……そうだな…」
「何故そんな本能が生まれたのか、かな」
なにか「それねー、」
「それは私にも分かんないんだよね」
「でもそのお掛けで、喰える魔力の量が増えてるから、」
「私にとってはありがたい事なんだ」
モーゼ「……は?」
「喰える?」
なにか「そうだよ」
「私は君達が死んだ後、身体に残った魔力を喰らってるんだ」
モーゼ「!」
なにか「身体が死ねば、魔法を貯蔵する機能も失われるからね」
「私が喰らわなくても、」
「ほっといたら魔力は、この世界では存在を保てず消えてしまう」
「それは勿体ないからね笑」
「私の栄養になってもらってるよ」
モーゼ「なんだよ……」
「それじゃあ…まるで…」
魔力は筋肉のように、使えば使う程鍛えられ量が増えていく
魔法使いには、魔力を消費したい本能がある
"なにか"は、魔力を栄養としている
3つの性質が絡み合い、1つの繋がりを形作った
これは偶然なのか、それとも…
モーゼ「まるで家畜じゃないか!!」
なにか「!?」
モーゼ「ふざけるなよ!」
「どれもこれもお前の都合の良いようになってやがる!」
「全部お前が仕組んだんだろ!」
「魔法使いが生まれたのも!、こんな本能があるのも!」
「全部、全部!!」
なにか「お、落ち着いて!」
「私は何もやってない…全部偶然なんだ!」
モーゼ「信じられるか!」
なにか「本当なんだ!」
「君の言う通り、確かに私に都合が良い事が多い!」
「だが!、私よりも得をしているものが・・・」
モーゼ「黙れ!、もうお前の言葉は信じない!」
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レイは、記憶を見るのを中断する
レイ「なんだよ…これ」




