37話 サードシンボル
シャルム帝国、主人公の住む国
サードシンボル達がシャルム国内で戦いを繰り広げる
サードシンボル、ローゼ・ヒストリーゲル
ローゼは自分の腹部を見る
剣が腹を貫通している
タークスフリーゲ「おいおい、無視するなんてひでぇじゃねぇか」
「価値が無いからってよぉ」
ローゼ「っ…」
【空間】「エスパース」
ローゼは槍状の空間で、敵を突き刺そうとする
タークスフリーゲは剣を抜きながら後ろに下がり、それを回避する
それと同時に、ローゼも距離をとるため後ろに下がる
ローゼ(奴は警戒すべき相手だと認識していたが、)
(何故か一瞬…とるに足らない相手だと思ってしまった)
タークスフリーゲ(心臓を刺すつもりだったんだがな、)
「俺みたいな無価値な雑魚の攻撃、よく反応したな」
ローゼ【空間】「エスパース」
タークスフリーゲ「!」
突如、2人を囲む様に地面が光出す
その光はやがて、2人を囲む壁となり、天井となった
ローゼ「ここには、私達しかいない」
「お前がどれだけ私の認識を妨害しようと、姿が見えなくなる訳ではない」
「目移りすることなく、お前に集中できる」
ローゼは自身の魔法で空間を創り、そこに自分達を閉じ込めた
この空間は彼女にとって、手足のようなものである
ローゼ【空間変形】「エスパース・フォメーション」
ローゼはタークスフリーゲの近くの地面を変形させ、下から串刺しにしようとする
しかし、
タークスフリーゲ【醜いアヒルの子】「ワート」
ローゼ「!」
ローゼの攻撃が止まる
タークスフリーゲ「価値あるものは、傷つけたくないよなぁ」
タークスフリーゲは、相手の自身に対する認識を操作する
時に自身を、相手にとってなんの価値もないものだと認識させる
時に自身を、相手にとって最も価値あるものだと認識させる
タークスフリーゲは攻撃が止まった隙に、ローゼを殺そうと接近する
タークスフリーゲ(価値を感じれば感じるほど、大切に思えば思うほど、それが傷つれられる不快感は大きくなっていく)
(それを許容できる奴は存在しない)
「終わりだなー!」
グサッ!
タークスフリーゲが、変形した空間に串刺しになっている
タークスフリーゲ「…なぜだ…まさか…俺の魔法が効いていない?…」
ローゼ「お前は私にとって、決して大切なものではない」
「…そう頭では理解しているんだがな」
「お前を大切に想う気持ちが心の底から沸き上がってくる」
「お前の魔法は効いているさ、残念ながらな」
タークスフリーゲ「ならどうして…」
ローゼ「相手が悪かったな」
「私は、大切なものを否定する覚悟をとうの昔にきめている」
タークスフリーゲ「は笑…何が覚悟だ」
「大切なものを否定だと?…お前は歪んでいる」
ローゼ「それでも、あいつが愛した私ならそうする」
ローゼの脳裏には、
ファーストシンボル、レーヴェン・ファイルの姿が映る
ローゼ「さらばだ」
2人を囲む空間の壁が変形し、タークスフリーゲを四方から貫いた
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サードシンボル、フルギア・スマインニヒト
シオゼント「お嬢さん、今なら楽に殺してあげますよ」
フルギア「誰に言っている」
フルギア【風】「ストーム」
フルギアは空気を圧縮し、空気砲のように発射する
その威力は地面に大穴を開けるほどである
シオゼント【半分】「ニミス」
しかし、シオゼントには届かない
フルギア(防御された…いや、私の魔法の威力が徐々に減少したような…)
フルギア【暴風】「ストーム・ミストラル」
フルギアは畳み掛けるように竜巻を発生させ、シオゼントを飲み込む
シオゼント【半分】「ニミス」
しかしシオゼントはまたしても、無傷でフルギアの魔法を看破する
フルギア(やっぱり、魔法の威力が段階的に減っているな)
(そういう魔法か…)
フルギアが相手の魔法を見破ろうと思考を巡らせていると、
シオゼント「やはり、女性の力などこんなものですか」
シオゼントがフルギアに話しかける
フルギア「あっ?」
シオゼント「おっと失礼、聞こえてしまいましたか」
「ですが事実でしょう?」
「女性よりも男性、人間よりも魔法使いのほうがより優れた存在である」
「それがこの世の真理ですよ」
「私があなたを殺し、それを証明してみせましょう」
フルギア「チッ」
フルギアは舌打ちをする
「男とか女とか、人間とか魔法使いとか、」
「どいつもこいつも個人を見ようとしない」
「人間には自然法則のような規則性がある訳じゃない」
「人が人を語るなんて傲慢なんだよ」
「私がそれを教えてやる」
フルギア【暴風】「ストーム・ミストラル」
フルギアは、再度竜巻を発生させる
先程よりも強力な竜巻だった
シオゼント「何度やっても同じことですよ」
【半分】「ニミス」
シオゼントの魔法は、対象を半分にする
その対象はある程度自由に選択できる
シオゼントはフルギアの魔法の威力を半分に、さらに半分に、さらにさらに半分になど、重ね掛ける事で対処していた
シオゼント(このまま彼女の魔力が尽きるまで付きあってあげましょう)
シオゼントは余裕の表情を浮かべる
シオゼントの魔法により、竜巻が消滅する
シオゼント「残念でしたね」
フルギア「てめぇがな」
シオゼント「!」
シオゼントは突然苦しみ出す
(なんだ…息ができない)
フルギア・スマインニヒトは風の魔法使い
故に、空気に自身の魔力を流すことで、その空気を操作できる
彼女は自身の竜巻を利用して、魔力を周囲の空気に流し込んだ
そしてその空気を操り、シオゼントの周囲を真空状態にした
フルギアはシオゼントに話しかける
フルギア「私はてめぇの周りの空気を操って、真空にした」
「これが出来るのは、この国で私だけ」
「同じ風の魔法使いでも、そこには明確な違いがある」
「同じ性別や種族だとしても、私達は別の命だ」
「てめぇの都合の良いように一括りにするんじゃねぇよ」
シオゼント(…くそ)
シオゼントはそのまま命を落とすのだった
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サードシンボル、セイ・アシン
フッペ【真実の口】「ルーハイ」
「私は何もしてないわ」
セイ「…信じられないな」
フッぺ「そう、残念」
セイ「!」
セイの頭に鋭い痛みがはしる
(なんだ…何をされた)
フッぺ「私は何もしてないわ」
セイ(そんなわけが…)
(!)
痛みが更に強くなる
フッぺ「私は、」
セイ【氷】「アクア・グラース」
セイは魔法で攻撃し、一度身を隠す
フッぺ「まだ動けたんだ」
セイは距離をとり、身を隠す
セイの頭には未だ激痛がはしっている
セイ(…頭が痛む)
(あいつの魔法か…くそ)
セイは相手の魔法に苦しめられている、だが
(のんびりしている時間はないな)
セイ【水】「アクア」
遠距離から水の槍を発射する
セイは思い返す
敵に近づき、相手の言葉に返答したことで痛みが襲ってきたことを
そのどれかに、相手の魔法の発動条件があると考えた
そのため、先程よりも距離をとる、声が聞こえないように耳に水を詰める、万が一相手の声が聞こえた場合にも無視をする、
それを徹底しようとしていた
フッぺは自分に迫る水の槍を、死体の山々を壁にして防ぐ
フッぺ「ふふ笑」
フッぺは不適に笑う
【真実の口】「ルーハイ」
「無駄だよ」
セイ(!)
(声…頭に直接)
フッぺ「あなたは私に勝てない」
セイ(!)
痛みが更に強くなる
フッぺ「ちなみに、私は魔法を使ってないわよ」
セイの痛みが更に更に強くなる
セイ「くそ…」
【氷】「アクア・グラース」
セイは痛みに耐え、何とか攻撃するが…
フッぺ(魔法の精度が悪い、もう限界ね)
(終わりにしてあげる)
フッぺ「私はね、このシャルムが好きなのよ」
「魔法使いと人間が仲良しごっこをしているこの国がね」
フッぺ「!」
セイ「!」
セイ(なんだ…痛みが和らいだ)
なんとここで、セイを苦しめていた痛みが緩和された
フッぺ「うぅ」
逆に、フッぺが頭を抱え苦しみ始める
セイは冷静に状況を分析する
セイ(……なるほど、少し見えてきたな)
フッぺの魔法、真実の口は、
相手が自分の発言を嘘だと思えば苦痛を与える
逆に、真実だと思われれば自分が苦痛を負う
フッぺ「お前!、お前はこの国に何の不満もないのか!」
「魔法使いを差し置いて、人間ごときが自由に生きているのに!」
セイ「それがこの国の在り方なら、受け入れるさ」
【水】「アクア」
フッぺ「!」
フッぺは何とかセイの攻撃を避けるも、痛みのせいか、動きにキレが無くなっていた
「ふざけるな!」
「不公平なルールに、黙って従えと言うのか!」
セイ【氷】「アクア・グラース」
セイはフッぺを氷漬けにする事に成功する
「社会の中で生きるとは、そうゆうことだろう」
氷漬けにされ、身動きがとれないフッぺにセイはトドメを刺そうとする
フッぺ「!」
【真実の口】「ルーハイ」
「私は死にたい!、殺されたい!」
フッぺは最後の抵抗を試みる
セイ「生憎、信じることには慣れている」
セイはそのまま、フッぺの息の根を止めるのだった
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サードシンボル、ヒエン・ゲンゼブ
リューブルム【時間の矢】「カロロス」
リューブルムは自身の魔法によって、高速で切りかかる
ゲンゼブはそれに対処するも、徐々に傷が増えていく
すると突然リューブルムの動きが止まった
リューブルム「邪魔だなー、この髪」
彼は持っている剣で、長い髪を切り落とし始める
ゲンゼブ(最初は短髪だったはず……)
(自身の魔法によるものか)
(わしの剣が青年の初激を防いだとき、剣は朽ち果てていった)
(まるで長い時間が過ぎたかのように……時間か)
リューブルム「ごめんねおじさん、待たせちゃって」
「てゆうか、おじさん凄いね!」
「僕と戦ってまだ生きてるなんて!」
「結構おじいちゃんだから、あんまり期待してなかったけど、びっくりだよ」
ゲンゼブ「ほほ笑、まだまだ若いもんには負けんよ」
リューブルム「ほんとかなぁ、僕知ってるよ」
「年が増えると出来ることが減っていくって」
ゲンゼブ「確かに、それは間違っておらんよ」
「じゃが、増えていくものもあるんじゃよ」
リューブルム「そうなの?!、なに?」
ゲンゼブ「経験じゃよ」
リューブルム「経験?、そんなのが増えてなんになるの?」
ゲンゼブ「強くなれる」
リューブルム「じゃあおじさんは僕より強いの?、そうは見えないけど」
ゲンゼブ「かかって来なさい、わしが身を持って証明してあげましょう」
リューブルム「やった、楽しみにしてるね笑」
【時間の矢】「カロロス」
リューブルムは再度加速し、ゲンゼブに切りかかる
ゲンゼブはそれを、ひたすら凌いでいく
リューブルム「どうしたのおじさん、このままじゃ終わっちゃうよ」
その時、リューブルムとゲンゼブの剣が衝突する
ゲンゼブは剣の角度を調整し、リューブルムの体勢を崩す
ゲンゼブはその隙に、一瞬だけリューブルムに触れる
体勢を崩されたリューブルムは、高速のまま民家に激突した
リューブルム「びっくりしたぁ」
リューブルムはすぐに体勢を立て直すが、
ゲンゼブ【再生】「リプロレーション」
リューブルム「?!」
「体が勝手に!」
グサッ
リューブルムは、自ら自分の腹部を貫いた
リューブルム「なに…これ…」
ゲンゼブ「わしの魔法じゃよ」
リューブルム「こんなの…経験なんて関係ないじゃん」
ゲンゼブ「そうじゃな」
リューブルム「なんだ、がっかりだよ」
直後、リューブルムは自分の腹に刺さっている剣を抜く
【時間の矢】「カロロス」
リューブルムは怪我など意に返さず、高速でゲンゼブに接近する
リューブルムの魔法は、時間の進みを速くする
剣の時間を進め、朽ち果てさせる
己の時間を進め、高速で動く
彼は今、自分の治癒能力の時間を進め、傷を一瞬で治した
勝ちを確信している相手は、完全に油断している
今なら殺せる
リューブルムは過去の経験からそう考えている
だが、
ゲンゼブ【再生】「リプロレーション」
ゲンゼブもまた、高速でリューブルムに向かう
ヒエン・ゲンゼブの魔法は、動きを記録し任意で再生することが可能
自身の動きを記録し、相手に強制させる
相手の動きを記録し、自身に強制させる
等の使い方がある
2人の魔法使いが、高速で交差する
リューブルム「は?…」
ゲンゼブ「経験を積んだものほど、経験が当てにならぬと知っているものじゃよ」
そこには五体満足のゲンゼブと、頭と胴が切り離されたリューブルムの姿があった
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サードシンボル、マグノーリエ・ラヴェンデル
マグノーリエ「美しさとは他人に強制するものではなく、自分を高める為のものですよ」
【質量剥奪】「マイス・アプネーメ」
マグノーリエは自身の質量を軽くし、素早く移動する
ザック【石化】「ステイン」
ザックは彼女を目掛け、光線の様な、ビームの様な、そんなものを出す
それに触れたものは石になっていく
「とっとと石になれ!、そうすりゃお前も美しくなれるぞ!」
マグノーリエ「私はそれを美しいとは思わないわ」
「そこまで言うなら自分が石になればいいでしょう」
【質量付与】「マイス・グランデ」
マグノーリエは自身の拳に質量を上乗せし、ザックを狙う
しかしそれは、ザックに避けられる
空振った拳が地面にぶつかる
地面は薄氷が割れるように粉々になった
ザック「俺には必要ねぇんだよ、もう充分美しいからな」
マグノーリエ「ほう、あなたの言う美しさとは何ですか?」
ザック「魔法使いが最も優れた種族だと認識することだ」
マグノーリエ「その考えを持っているものこそ美しい」
「そういうことですか?」
ザック「そうだ、俺達魔法使いがこの世で最も素晴らしい存在だ」
「なのにお前達は自分達を過小評価し、下等な人間なんかに歩み寄って生きている」
「そんな醜い奴らに、せめてもの情けとして石にしてやってるんだ」
「これ以上人間なんかと、生きていかなくていいようにな」
マグノーリエ「理解できないですわね」
ザック「あ?」
マグノーリエ「見た目以外に美しさを見い出すのは」
ザック「は?」
マグノーリエ「人の内面に、美醜を分ける程の差など無いですわ」
「しかし容姿は違う」
「美しい者とそうでない者、差は歴然ですわ」
ザック「お前…最悪だな」
「人を見た目で判断するとか」
「というか、内面に差はあるだろう」
「明るい奴や静かな奴だっている」
マグノーリエ「それは所詮環境の違いですわ」
「環境が変われば、明るい人は静かに、静かな人は明るくなるでしょう」
「皆等しく全ての性質を持っている」
「私はそう考えていますわ」
ザック「ならお前も、人間を醜いと思ってんのか?」
マグノーリエ「…」
ザック「なんだぁ!、そうなのか!」
「先に言えよ!、ならさ俺達と組もうぜ!」
マグノーリエ「…お断りします」
「私はシャルム帝国の魔法使いです」
「人間を、同士を、守る義務がある」
ザック「責任感か!、分かるぜ俺も!」
「任された仕事は達成したいよな!」
「でも考えてみろよ」
「魔法使いの命をかける、そんな価値が本当に奴ら人間にあると思うか?」
オギャー、オギャー
2人の近くで子供の泣く音がする
母親「ひぃっ!」
母親は子供を抱えながら2人を見つめ、怯えている
ザック「チッ」
【石化】「ステイン」
光線が発射される
母親が子供を守ろうと覆い被さる
マグノーリエ「!」
その母親を守ろうと、マグノーリエは咄嗟に盾となった
光線がマグノーリエに直撃する
彼女は石像へと姿を変える
ザック「はぁ、結局お前もそっち側か」
「仲間になれると思ったんだが」
ザックはマグノーリエの石像に近づき、そう話しかける
母親は恐怖で動けなくなっている
ザックはそんな市民を狙う
「こんなのの、何処に守る価値があるんだよ」
その時、
マグノーリエの石像が割れ、彼女が無傷で姿を現す
ザック「は?」
ザックが事態を認識する前に、
マグノーリエ【質量付与】「マイス・グランデ」
ドンッ!
マグノーリエの多大な質量が乗った拳が、ザックの頭部を粉砕した
マグノーリエは自身と自身の触れている物の質量を操作する
自身を軽くして機敏に動いたり、
逆に重くして攻撃の威力を上げたり等が出来る
今彼女は、自身に纏う魔力の表面に質量を与え、薄い壁として利用し身体の石化を防いだ
マグノーリエ母親に話しかける
「もう大丈夫ですわ、早く逃げなさい」
母親「ほ、本当に、ありがとうございました」
母親は子供を抱え、走り去っていった
マグノーリエはザックの死体の前に立つ
「あなたの言う通り、私は人間を醜いと思っている」
「しかし、その醜さや弱さが、時に誰かを救うことがある」
「私は人間のそんな所を、美しいとも思っているわ」
ザックを殺したマグノーリエの表情は、とても清々しかった




