豚の死骸と指使いについて
眉毛を触る癖がついて一年ほど経ったが、特に直す気にはならなかった。前髪をいじるナルシスト癖の親戚みたいなものだろうか。手が暇になると眉毛のうえを薬指が勝手になぞるようになってしまった。それで気が付いたのだが、どうやら人の指というのは、意識によって動かすときは人差し指か親指で、癖によって動かすときは薬指か小指と決まっているらしい。
「中指は扇情的に動く!」
こういう絶妙に恥ずかしい文言を書きたくなったとき、とりあえず登場人物にすべての責任を押し付けてしまう。これは悪癖だ。自覚はしているのだが、これはかなりこじれた癖なのでもうどうしようもないと諦めてしまっている。
とにかく今は眉毛と薬指の話だ。暇さえあれば薬指で眉毛をなぞっている。昼も夜も関係ない。意識的指使いと癖による指使い。話はこれで終わりだ。
しゃぶしゃぶの肉を一切れ掴んで「見て見て、豚の死骸」と教えてくる子供は憎たらしさがそのまま愛らしさなんだ。こんな風に、あえて貶すような表現をすることによってそのものの魅力が倍増するケースがある。一番人気は誰かが自慢げに言い放ったダジャレに対して、「マジしょーもないw」とか言って馬鹿笑いするあの場面くらいか。
左手でタイプしながらも右手は眉毛に。逆のときも当然眉毛に。手をとめて考えを深める段階も眉毛に。
こうしているうちに「豚の死骸と指使いについて」というタイトルを思いついた。二つの言葉をくっつけただけだが、けっこう面白そうなタイトルだ。問題は内容がタイトルの単語を含んでいるだけということだが、白状すれば今は何も集中できていない。バックで普段聞いてこなかったエレクトロダンスミュージックが流れている。ただ書きたいから書いているだけで、これらのアイデアを活かそうという気がさらさらない。
「髪サラサラ~」
CMで使われるセリフってなんであんなに気になるんだろう。髪サラサラ~。髪サラサラ~。文章では伝わらないだろうが、女の子とお母さん役の二人が声を合わせて言っている。髪サラサラ~。
あとお気に入りなのはgoogleのCM。
「この鳥は求愛する相手に植物の実を送るんだ。」
「やった!(歓喜)」
最近ではあれが一番ツボだ。翻訳が絶望的にヘタなのかgoogleの広報がおかしいのか。どっちにしろ流れ続ける限りはスキップしないで見ようと思う。googleの広告だからもともとスキップできないんだっけ。
中指は扇情的に動く。さっきの登場人物のセリフ。パンにジャムを塗る手は動く。折坂悠太の新曲。とくに似ているでもないけど頭のなかでだけ印象がタブることがある。本当に共通点が希薄だから中々この考えを表に出すことはないんだけど、今は集中力が欠けまくっているから特別に大公開だ。集中力の欠けた時間の有効活用について。日記とは集中力を落としてスムーズに入眠するための方法。その古典なのかもしれない。多分、暇な時間を有効活用している暇なんてあったら寝た方がいいと思う。