第98話.いざ、決戦へ──
作戦会議を十二分に行った翌日の朝──。
日本勢6人とエジプト勢5人、計11名は冒険者ショップに朝凸しに来ていた。
冒険者ショップとは、ダンジョン内で回収されたアイテムやその他人間によって作られた道具などを売っている場所のことだ。
11人はエジプトで一番大きい冒険者ショップに来ていた。当然周りには他の冒険者もいるわけで、遥斗たちは、いやスーザたちは注目を集めていた。
「おい、あれブライトじゃねえか?」「うお、マジだ」「隣で歩いてるのは……日本人か?」「バカ知らねーのかよ。あれ、世界初の主要ダンジョン攻略者だぞ」「マジかよ!?」「バッ、声でけえって」「あの2人は知らねえけど、生ける伝説と一緒に歩いてるってこたぁ、あいつらもヤベえんだろうな」
知らないところでハイドへの株が上がっていっているが、11人はその声を気にせずに必要な物を買っていく。
兄弟は周りの人たちへ、チラチラと視線を向けていたが。めちゃくちゃ気にしていたが。
買い物終わりの午後から数日間、ホリーのリハビリや他のメンバーの調整で他のダンジョンに潜っていた。
この数日間は他のメンバーの調整は関係なしに、ホリーのリハビリのためだけに取られたものであった。
そのため、買い物終わりの午後は11人全員で同じダンジョンに行った。DやEではなくBランクの、である。
結果から言えば、ホリーを除く10人は一切戦わなかったのだ。とても復帰後とは思えない、素晴らしい動きだった。
そのため、残り数日間は調整に当てられたのだった。
☆
「それじゃあ、行こうか」
アナスターシャ前に集まった9人の周りには、たくさんの人が群がっていた。
残る2人──兄妹は先にアナスターシャに入って待機している。もちろん理由は注目を浴びたくないからである。
それはともかく。
実は昨日、大きな知らせが届いたのだ。
なんと、世界最強であるアメリカのパーティーがドイツの主要ダンジョンを1週間後に攻略すると宣言。
それだけでも世界中をどよめかせるには十分であったが、さらに目を引いたのは、それに踏み切った理由。
アメリカパーティーもストラを攻略したとのことらしい。
新たな主要ダンジョンの攻略者が誕生した、ということは、世界にまた1つ活気を取り戻させたのだ。
そんな中での、アナスターシャの攻略。失敗するわけにはいかない。
そんな思いを胸に秘めつつ、9人はその一歩を踏み出した。
リアルが忙しくてなかなかあげれませんでした…!




