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【3章完結】自宅が最難関ダンジョンの隠し部屋になった件〜隠し部屋で最低限学んだスキルは、どうやら地上では強すぎるらしい〜  作者: もかの
第2章.万物を焼き尽くす翼

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第86話.恩恵

「……うん、やっぱり紬の上級魔法は上級魔法してないな」

「ま、私は魔法専門だからねっ! お兄ちゃんも剣術だったら結構ヤバいじゃん」


 あれだけ苦戦したゴブリンジェネラルがホログラムのようになって散っていくのを眺めながら会話する。すると、少し離れた位置で待機していたスーザとガルムがその様子を見て駆け寄ってくる。


「え、もう倒したの?!」

「さっきお前ら結構苦戦してたのに……」

「いやぁ、魔法使いが2人いれば意外と簡単でしたよ」

「そういえばさっき、突然ゴブリンジェネラルの背後から蒼い炎が出てきてたけど……」

「あー……」


 遥斗はちらりと紬に視線を送る。すると遥斗が予想していた通りの困ったような表情を浮かべていた。


 大方予想はつくが、やはりあの『隠密』はバレたらいけないタイプのものなのだろう。アストラル隠し部屋時代は練習の時、2人別々で行動していたため、いつ手に入れたか遥斗には分からないが。


「えっへへ♡」

「だそうです」

「なるほどね」

「スーザが俺より兄妹に適応するの早い?!」


 ガルムはがっくりと肩を落とす。それを横目に遥斗はゴブリンジェネラルのいなくなったボス部屋を見渡してみる。こんなに待って次の階層へと続く階段が現れないことは今までなかったので、攻略完了と見ていいはずだ。


「うーん……階段も出ないし、帰る用の魔法陣も出ませんねぇ……」

「これってあれじゃない? 一回あの声が入ってから転移させられる系のやつ」


 スーザがそう予想したその時、それが現実となる。


『隠しダンジョン、裏のファストの攻略を確認。達成者、スーザ、ガルム、はる、ツムツム。ファストより恩恵(ギフト)をお送りします』


 それだけ言うと、4人の足元に魔法陣が出現した。


「あ! 変装しないとですね!」

「そうだった!」

「え、でも、変装道具ってあのアイテムボックスみたいなやつに収納したよな?」

「「あっ……」」


 遥斗も亜空間収納が使えないことくらい頭では理解していた。ただ、どうしても変装しないと炎上するという恐怖からつい発動しようと手を出してしまった。


「ディ、亜空間収納(ディ・ボックス)……!」


 試しに発動してみるも、手のひらの上に黒い渦巻きが現れる。


「「「「……ん?」」」」


 遥斗が手を突っ込んでみると、アフロ3つと黒のサングラス3つが取れた。ちゃんと亜空間収納は機能していた。


「うん、なにそれ?」

「スーザさんたちの変装道具。日本トップがファストに乱獲なんてしたら確実に炎上するだろうしね」

「それにしてもなんで発動できたんだ……?」

「この状況からして恩恵絡みだとは思うけど……ま、一旦帰ろっか」


 3人は変装をし、紬はどうやら黒のフードを持ってきていたようで、それを被る。


 4人は光に包まれた。


(あれ、そういえば、短距離転移使えてたっけ……なんで俺、違和感なく使ってたんだ?)

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