第79話.オークジェネラル・邪
ボス部屋の扉を開けると、黒のオーラを纏ったオークジェネラルがいた。
通常のオークジェネラルよりもさらに大きくなっており、それに比例するかの如く棍棒も巨大化していた。さらにはその棍棒に棘がついていると来た。邪になったことで殺傷能力マシマシである。
「どうします? スーザさん行きます?」
「うーん……二刀流使えば行けるかもしれないけど、まだあと1階層残ってるし、遥斗くんに頼んでもいいかな?」
「おけっす。というかやっぱり、二刀流スキルは時間制限があるんですね」
薄々感じていたことだったが、遥斗は今のスーザの言葉を聞いて確信に変わった。遥斗のように隠しているわけではなく、二刀流スキルは周知の事実。それをわざわざ使わないということは、そういうことなのだろう。
「あはは、さすがにバレちゃうか。時間制限って言っても、今の僕は1日30分は使えるけどね。1日で30分も使ったことはないけど、いざというときに困るから温存するようにしてるんだよね」
「俺でもそうしますね。まぁ任せてください」
そう言って遥斗は一歩前に出る。そして剣を構えた。
ここにたどり着くまでにオークどもを圧倒してきたその素早さで、瞬時にオークジェネラルに近づく。
「中級剣術スキル・十字斬ッ!」
横一閃と縦一閃を組み合わせた技。ノーガードで受けたのならそれなりのダメージが入る。
──が。
「クッ! かってーなおい!」
ノーガードで受けたはずのオークジェネラルは、傷ひとつない状態で立っていた。中級剣術など効かないといった様子だ。
「いや、実際どの中級でも効かねえんだろうけど」
反撃を恐れ、1度距離を取りスーザのもとへ。
「……ダメージなしに見えたんだけど……?」
「多分、剣術スキルなら中級以下は効かなそうですね……」
「わお……僕、剣術スキルなら中級までしか使えないや。最終階層じゃないのにもう二刀流を使わないといけないレベルなんだ……」
(……ん?)
遥斗はギリギリ声を漏らさずにすんだ。
疑問に思ったのは当然、中級までしか使えない、というところ。
(俺……剣術スキル使い始めて10日くらいで上級使えた気が……)
しかし、そこまで思ったところで上級剣術スキルについて思い出す。中級までとは入手方法がかなり異なるということを。初手隠し部屋スタートをしている人以外は入手方法を見つけるのは難しいだろう。
「えーっと……スーザさん?」
「ん? どうしたの?」
「あのぉ……日本、いや世界で上級剣術スキル使える人ってどのくらい……いや、そもそもいます?」
「んーと……たしか3人いたはずだよ。もちろん、みんなSランク冒険者だね。むしろSランクで上級使えないの、僕くらいだと思うよ」
「あぁ……スーザさんは二刀流でそれを補ってるんですね。それにしても、3人、ですか……。ならやっぱり極秘情報にしたほうがいいですよねぇ……」
「ちょっと遥斗くん? その口ぶりはまさか──」
遥斗は右手に剣を持ったまま、左手に体内の魔力を集める。そして、それを突風を放つときのように無属性の魔力を風属性に変えていく。
できるだけ余すことなく変換し終えると、剣先に左手を添え、そのまま剣をなぞるようにゆっくりと柄に向けて動かす。それと同時に、左手に集めた魔力を剣に流し込む。
そうして出来上がったのは、風属性の魔力を帯びた剣。だが、このままではまだ未完成である。
「創造《魔導剣》、突風剣」
そう口にすると剣が強く光り、それが収まり出てきたのは風魔法を帯びた剣だ。
「スーザさん、上級剣術スキル以上は魔導剣が必要なんですよね」
「……まさか、剣士が強くなるのに魔法を鍛えないといけないとはね……」
1年半以上前。サラが剣術にも関係してくると言っていたのはこのことだった。だからこそサラは遥斗に魔法を教えた。
「それでは、上級剣術スキルの実演です」
魔導剣になったからといって身体能力が上がるわけではないが、そもそもの遥斗の素早さでオークジェネラルが対応する前にたどり着く。
「上級剣術スキル・嵐撃ッ!」
今までと違う雰囲気を察したのか、自慢の硬さでは防げないと判断したオークジェネラルは、その大きな棍棒をあのオークを超える反応速度で遥斗に、いや剣目掛けて薙ぎ払おうとする。
──遥斗はその棍棒を真っ二つに切り裂く。
そしてそのままの勢いでオークジェネラルをも一刀両断する。
「勝負あり、ですね」
ローファンタジー週間5位を獲得、表紙に載りました!ありがとうございます!
ただ、埋もれてた頃から読んでいた皆さん。もし、この作品がさらに順位を上げたら、「俺、古参なんだぜ?」って言いたくないですか…?
よければ、評価をポチポチっとお願いします!!




