第78話.オーク・邪
2階層はやはりもとのファストと同じ、オークエリアだった。そしてもちろんのことながら、黒のオーラを纏っている。
「こいつも魔法が効かねえのか?」
「さぁ……俺も2階層は初めてなので……」
なので、遥斗は確認のためにも上級魔法を放つ。3人と魔物との距離は100mはあると思われるので、オークはこちらに気づいていない様子。
あのスライムのように魔法耐性が鬼のように高くない限りは、確実に当たって死に近いダメージが入る──はずだった。
オークの目前まで迫ったかというところで反応し……、
オークはその棍棒で上級魔法を叩き割った。
「「「えぇ……」」」
3人はドン引きした。
現在、世界で確認されている最高レベルの魔法。さらに、風属性という火、水などと違い実体を持たない魔法。それを叩き割られたのだ。引くのも頷けるだろう。
「……推測だと、スライムは魔法耐性が馬鹿げてて、オークは攻撃力が馬鹿げてる、といった感じですかね?」
「攻撃力どうこうで解決する技じゃなかった気がするんだけど……」
「俺もあれ、できるのかな?」
「おこちゃまには厳しいかもです」
「誰がチビだおい」
遥斗は試しにあの技もオークに打ってみる。叩き割られた。
「なんで? あれこそ無理では???」
「……考えるのはあとにして、まずはあいつを倒そうか」
そう言ってスーザは片手に剣を構える。
そして、剣士特有の素早さでオークとの距離を瞬時に詰める。遥斗たちからはなんの剣術スキルを使ったかは分からないが、剣を光らせオークを後ろから薙ぎ払おうとする。
しかし、移動速度が遅いことで知られているオークは、スーザの高速移動のあとから動き出したにも関わらず、振り抜きつつ棍棒を下からすくい上げるように操り、その剣撃を弾く。
まさか、速さ勝負でオークに負けるとは思っていなかったスーザは、反撃を食らわないように後退し、2人のもとに帰ってくる。
「スーザさん、今の速さはどのくらい本気ですか?」
「二刀流スキルを使わないのなら、かなり限界に近いね……」
「ちなみにレベルはおいくつで?」
「えっと……600後半だった気が……」
「……ん?! あ、いえ、なるほど……」
言えない。Fランク冒険者の遥斗のほうが200近くも上だなんて絶対に言えない。
さらに遥斗は、例の称号の効果によりステータス値が上昇しているため、スーザよりもかなり上のクラスだと言える。
繰り返すが、Fランク、最低ランクである。
「……俺はおそらくスーザさんよりも素早さ上昇率が高いと思うんで、俺が担当します」
レベルが高いということをオブラートに包み込んだ結果、あとで怪しまれそうな発言になったが、遥斗は気にしないようにしてオークとの戦いを始める。
☆
3人はボス部屋に到達した。
「遥斗くん、早すぎないかい? オークもらくらく突破したね……」
「スーザさんも本気出せばもっと早く動けるでしょうに」
評価2000突破しました!!ありがとうございます!
もうすぐで週間5位に入れそうなので、面白いと思ってもらえましたら、




