第57話.注目×2
光が収まると、ダンジョンに入る前とは違う風景が目に入る。しかし今回のは隠し部屋などの方向ではなく、大勢の人が集まっているものだった。
『おい、攻略者が帰還したぞ!』『あいつらがここをクリアしたのか……!』『あ、この人たちって日本で初のSランク冒険者がいるチームじゃない?!』『すげぇ……やっぱSランクって強いんだな!』『ボスと出会ったって情報すら無かったのに、まさかクリアまでしちまうとはな!』
数えることが不可能なほど集まった人たちが口々に称賛の声を伝えてくる。
どこのダンジョンで手に入れたかは忘れたが、特殊スキルの自他翻訳を持っていた兄妹はその言葉の意味が伝わってくる。が、いちいち聞くのが面倒になったので、翻訳を切りまわりの声を雑音に変える。
「なんか皆さんはこれから忙しそうなんで、俺たちは先にホテルに戻っておきますね」
「え?! 遥斗くんたちが一番の主役でしょ?」
「でもどうせFランク冒険者が主要ダンジョン攻略したなんて誰も信じないでしょう? あと目立ったらいろいろ動きにくそうで面倒なので」
「2つ目の理由が9割くらい占めてそうだね……。まぁでも、そういうことなら6人で協力して倒しましたくらいにしておくよ」
「あざます!」
そうして遥斗たちは残りの面倒くさそうなのを全て強靭な刃に押し付け、早々にホテルに帰ったのだった。
☆
部屋に入り、2人は早速称号の効果を確かめる。
「アストラルのヤツも特殊でつよつよだったからすっごい楽しみ〜!」
ステータスを開き、”ストラ隠し部屋に踏み入りし者”をタップする。
称号:ストラ隠し部屋に踏み入りし者
・持ち主の職業に応じて、ステータス値の1つを2倍にする。
そこにはこのように表示された。
「ぶっ! な、何だこれ……ぶっ壊れじゃねえか!」
「す、すご……。職業に応じて系も前例ないし、決まっている数字だけ上がるんじゃなくて、どれだけもとの数値が高くても2倍する……強すぎるって!!!」
明らかに強すぎる称号が映っていた。さすがは唯一無二で最高レベルの難易度の称号なだけある。
つまりストラは全体的にステータス依存のダンジョンだった、ということである。
「ま、これはまた隠すとして」
「残った時間はもういっかい観光だねっ!」
超高レベルのダンジョンを攻略したFランク冒険者の物語はまだ始まったばかりである。
『──……まさか1年とちょっとで、もう主要ダンジョンを1つ攻略されるとはね……。サラの指導を受けたとは言え、1ヶ月でここまで成長してるのは彼ら自身の力だよね。遥斗くんと紬ちゃん、か。覚えておくとしようかな』
本編としては一章完結でございます!
ちなみに明日、1話だけ説明回を出したら本当の終わりです。
公募のためにもう一度なろうでの更新を再開しましたが、更新を辞める前よりもたくさんの方に読んでいただき嬉しい限りでございます!
正直なところ、以前までのPV数なら一章で終わろうと思っていましたが、今ではたくさんの人に読んで頂いてるので、2章もひっそりと投稿していこうとおもいます!




