第51話.真のストラ 4
「スーザさん! 皆さん! 大丈夫ですか?!」
兄妹は4人のもとに駆け寄る。
「はは……ギリギリ間に合ったよ……」
スーザはかなり疲れた様子で答え、3人は頷きで示す。スーザをよく見るとその手には2本の剣が握られていた。
「二刀流スキル……?」
「まさか……剣技だけであの風圧を凌いだんですか?!」
「ただがむしゃらに剣を振り回してただけなんだけどね……だけど既にかなり限界が来てるみたい……」
そう言うとスーザも膝をつく。それもそうだ。あれだけの風圧を剣を振り回すだけで防ぐことなど到底できる技ではない。それを3人を庇いながらやってのけたのだ。先程まで立っていたのも奇跡に近いはずだ。
「僕ら4人が使い物にならないんだ。今回は撤退しよう。なに、ボスの情報が分かっただけでも──」
「やられっぱなしで、帰れるわけ無いですよね」
「そうこなくっちゃ、お兄ちゃん!」
「え……?」
「ミュウさん、防護結界ってどれくらいの強度できますか?」
「え、えっと……あたしたちが動けないことを条件にしたらあいつの攻撃を防ぐくらいはできると思うけど……」
「ではそれ頼みます」
それだけ伝え、兄妹は覇王と正対する。
「ちょっ……マジで言ってるのか?! 多分だけどそいつ、上級魔法程度なら余裕で耐えてくるぞ?!」
「いやだから、俺は魔法じゃなくてこっちがメインですよ。もちろん、これも他言無用でお願いします」
そう言って、遥斗たちは久しぶりにあのスキルを使う。
「「亜空間収納・開門!」」
そう唱えると、空中にサッカーボールほどの大きさの黒い渦巻きが現れる。2人はそこに手を突っ込み、剣と魔法杖を取り出す。
「それ……いわゆるアイテムボックスってやつか……?! 前例聞いたことねえのがポンポン出てくるな……ッ!」
遥斗は紬よりも覇王に近い位置に行き、剣を構える。覇王も振り返り、遥斗たちと正対する。
「──……言っておくが、上級魔法より痛いぜ?」




