第35話.レイジ 2
入り口に入ると転移するときと同じような光に包まれる。落ち着いてくると、学校の体育館並の部屋にいた。もちろん、周りに他の冒険者の姿はない。
「って、そういえばマジで俺だけでするんですか?!」
「頑張ってなー! Fランクなんだし、練習積まないといけないしな!」
「うっわ、それっぽい理由つけられた」
「ま、こっちに来た攻撃くらいは避けるから、俺はいないもんと思ってやりな」
「それは言われずとも」
「あ、そっすか……」
ダンジョンの中はどういう原理か外と変わらない明るさがあり、これまたどういう原理か外見とはまったく違う広さを持っていた。おそらく縦横共に1kmといったところだろう。
すると2人から少し離れたところに光が集まってくる。それが収まり、出てきたのはスライムキングだった。
「なんだ。思った以上に初心者用ですね」
「知ってるか? スライムキングって本来Fランクは討伐不可能って言われてるんだぜ?」
「いやいや、昔よりはみんなの技術も上がってきてるだろうし、今なら何人か倒せるんじゃないですか?」
そんなことをのんきに話していると、スライムキングがまた光出す。
「……え? あれってもしかしてあれです?」
「あ〜、ま、頑張ってもらって」
「クッッッソめんどいじゃないですか!!」
そう、スライムキングの代名詞と言ってもいい専用スキル、分裂だ。
もちろん強くはない。強くはないが量がおかしい。噂では1000匹を超えるとかなんとか。
このままで経験値とか言ってたらきりがないし、遥斗は広範囲魔法を覚えていない。剣術も大量の魔物には向いてない。なので遥斗は約1年ぶりにあの技を使う。
「……ガルムさん。俺がこれから使うのは他言無用で」
「ほう? そこまでするほどの珍しい魔法があるのか? ま、いいぜ!」
その言葉を聞き、遥斗はガルムについてきてくださいと言い、このフロアの隅まで行く。
ガルムの前に立ち、指ではなく手のひらを前に伸ばす。改良版だ。今までと同じ要領で魔素を集め、それをどんどん大きくしていく。
「はっ……?」
視界が全て魔素の塊で埋め尽くされるほどの大きさになる。それを放つ。
もちろん通った道のスライムはすべて消えていた。あとは残った数十匹のスライムを倒し、遥斗はこの階層をクリアする。




