第33話.クエスト報酬
「よし、それじゃ行きますか」
「え、なんも持ってかなくていいのか?」
「なんとかなりますって」
「は、はぁ……」
あの後、準備するということでガルムは一旦部屋に戻り、しばらくして戻ってきて、何も準備をしていない遥斗に声をかける。
遥斗は亜空間収納にサラからもらった剣があるのも準備しなかった理由の1つだが、ただ単に戦うのが面倒くさかっただけである。
「まさか、戦い全部俺にさせよう、ってことじゃないよな?」
「できないんですか?」
「あ、否定しないんすね……。いやさ? 今日行くところもストラほど難しいわけじゃねえから、負けることはないけどさ? さすがに疲れると言うか……」
「それじゃ、行きますか」
「くそう、俺が誘ってるから拒否権を持ってねえ……」
そうして2人はシドニーの端に出現した推定Bランクのダンジョン、レイジに向かい始めた。
☆
──推定Bランクダンジョン、レイジ。
各階層にフロアボスしか存在しないタワータイプのダンジョンで未踏破ダンジョンだ。全20階層からなっているが、前半10階層はE〜D程度の魔物で戦闘慣れにも使われているらしい。
しかし、問題はそれ以降。現在確認されている15階層のフロアボスで既にCランクの魔物が登場している。一部の人はラストフロアボスはAランクなのでは、と考えてる人もいるため、現時点ではBランクダンジョンとなっている。
「お〜。下から見ると20階層あるタワーダンジョンってすごい迫力ですね」
「だな〜。俺が下積みしてた頃でも12階層までしか見たこと無かったわ」
「では、早速中に行きますか」
「え、クエスト受けなくていいのか?」
「え、だってクエストの報酬めちゃくちゃしょぼいじゃないですか」
「いやいやいや、普通においしいぞ?!」
遥斗は自身が知っている知識とは全く異なることを言われ、思わず脳の処理が追いつかない。
ちょっと来てみろ、と言われ、レイジのダンジョンギルドに入る。そこでガルムはこのダンジョンのクエスト一覧を見せる。
「ほら、これとか階層初踏破ごとに日本円で1万円と経験値1000だぞ?」
「え?! でも俺が1年前に初めてやったクエストは経験値1だけでしたよ?!」
「それ超初期クエストじゃねえか!!! え、遥斗お前今冒険者ランクなんだ?」
「今も昔もFのままですけど?」
「Fのまま?! え、じゃあレベルは……?」
「えーっと、たしか500を超えたくらいだったと思います」
ガルムは驚きのあまり、あんぐりと口を開けて固まる。そして数分、ようやく理解してきたのか、やっと口を開く。
「……ちょっとおもろいから、すまんがお前はクエスト受けずにダンジョン行ってくれ」
「あ、いつも通りなんで全然いいっすよ。俺は早く帰りたいだけなんで」
「俺はクエスト受けてくけど気にするな」
「早く帰りたいだけなんでいいっすよー」
「あと、俺一切戦わないから」
「早く帰りたいだけ……それはちょっと話が違いませんか? いや、行っくぞー! じゃなくて! ちょ、ちょっと待ってください?!」




