第30話.オーストラリア
──時は流れ、オーストラリアの大都市の1つ、シドニー。強靭な刃と同じ飛行機から降り、2人もこの地に足を踏み入れた。
「あー、疲れた……」
「おぉ〜。ここも冒険者ブームが来てるね〜!」
「命の危険があるとは言っても、簡単なダンジョンでも結構稼げるしな」
そうして感傷に浸っていると、後ろから懐かしの声が聞こえてくる。
「ん? お前ら、もしかして1年前の兄妹か?!」
そう言って、ガルムが2人のもとに走ってくる。同じ飛行機になったのも狙ったわけではなかったため、会えないなら会えないでいいと考えていた2人は、向こうから気づいてくれたことに驚く。
「そ、そうです! 覚えててくれたんですね!」
「あったりめーよ! 俺がいろいろ教えてやったのはお前らが最初で最後だから、今度絶対会うって心に決めてたからな!」
ガルムは2人の頭にポンと手を置く。例の特殊スキルにより身長が2m近くあった。
「そういえば、ガルムさん今日本で3位なんですね! すごすぎます!」
「おうよ! あの特殊スキル、実はめちゃくちゃ強くてな。ま、それに気づけたのも全部あいつのおかげなんだけどな」
「「あいつ?」」
誰かを指すその言葉に2人が首を傾げていると、ガルムの後ろからもう3人が近寄ってくる。
「ガルムっちー、また力自慢〜?」
そう声をかけたのはボブカットの小柄な女性だった。手には神々しい輝きを放つ杖を持っていた。
「またとはなんだ、失礼な! この2人とは1年前にちょっと縁があって、久しぶりに会っただけっつーの! おっと失敬。こいつはうちのパーティーで魔法使いをやってるミュウだ」
2人はその名前を聞いてはっとする。日本ランキング4位の人だったからだ。
「わっ、イケメンと美少女じゃん……。連絡先を交換してもらっても?」
「こらこら、迷惑かけるんじゃないよ」
「スーザの言う通りです! ガルムの数少ないご友人がいなくなってしまいます!」
「ちょっとリアさん? さり気なくディスるのやめてもらえます?!」
(おぉ……強靭な刃が全員揃ってる……)
日本1位であり日本初のSランクでもある剣術使い、スーザ。世界でスーザしか持っていない二刀流スキルは、他のSランク冒険者にも引けを取らない。
そして、治癒魔法使いでありながら日本2位に上り詰めているリア。そこには彼女の象徴とも言える完全再生の存在があったからだ。1日に2回しか使えないほど魔力消費は激しいが、即死ではない限りどんな傷でも治せるその魔法はまさに神そのものだ。
「話が逸れたけど、スーザが俺の力を見出してくれたんだ。今でもこいつには感謝しかねえよ」
「大げさだなぁ」
そう言って2人は笑う。とてもいい雰囲気のパーティーだった。
「そういえば、ここにいるってことはお前らもストラに挑むのか?」
「そうです!」
「ってことは、あの頃よりかは強くなったってことか! 知り合いが強くなるのは嬉しいもんだな!」
このあと6人は同じホテルに泊まり、次の日の朝を迎える。




