第29話.1年後
その日から、2人はレベル上げに勤しんでいた。それはもう、すごい時間を。
周りのレベルと自分たちの力をまだ理解していない2人は、Aランク以上のダンジョンは自分たちには無理と考え、日本国内のBランク以下のダンジョンを周りまくった。
途中で、理由は分からずとも、あの技では魔宝石が落ちないことが分かり、魔法や剣での攻撃に切り替えていた。
クエスト報酬は魔草の経験からそこまでおいしくないと考え、一切受注しなかった。そのため冒険者ランクもパーティーランクも揃ってFランク。
そのまま、1年が経過した──。
☆
「あ、お兄ちゃん見て見て! 日本初のSランク冒険者だって!」
日本中を周って、久しぶりに自宅に帰ってきたところで速報が届く。
「へぇ、世界でも8人目なんじゃないか?」
「みたいだよ! でも、Sランク冒険者でも主要ダンジョンで一番簡単って言われてるオーストラリアのダンジョン──ストラは攻略できないみたいだね……」
「Sランク冒険者自体各国に散らばってるしなぁ。全員が力を合わせるのは厳しいだろうし、もう少し攻略には時間がかかりそうだな」
日本の冒険者ランキングには確かに1位がSランクと表示されていた。そして、その2つ下、3位にはなんとAランクになっているガルムがいる。見た目だけではなく実力もすごいようだ。日本の上位1、2、3、4位の4人は同じパーティーの強靭な刃に所属していて、もちろん日本で1位のAランクパーティーだ。
「ま、俺らもステータスはかなり上がってきたしな」
そう言って、2人は改めてステータスを開く。
名前 :佐藤遥斗
レベル :534
職業 :未選択
スキル :なし
特殊スキル:なし
魔法 :なし
技術 :なし
恩恵 :なし
称号 :なし
名前 :佐藤紬
レベル :498
職業 :未選択
スキル :なし
特殊スキル:なし
魔法 :なし
技術 :なし
恩恵 :なし
称号 :なし
紬は魔力、遥斗は素早さと筋力、スタミナが大幅に増加していた。
「あ、お兄ちゃん! 強靭な刃がストラに向かうって!」
そこでさらに情報が入る。それを聞き、遥斗はふと考える。そして笑みを浮かべた。
「紬、俺たちも一緒についていくぞ!」
「えぇ?! いいの? わたしたち、まだそんなに強くないと思うけど……」
「ほら、記念受験ってのもあるだろ? それと同じさ。金ならこの1年でためたのがあるしな」
本来ならそれでも断るべきだろう。しかし、それを聞いているのはほかでもない、紬だ。
「……わたしもどんな感じか気になるし、行ってみる!」
しばらく休んでましたが、また少しずつ投稿します。




