第25話.ファスト 4
ファスト最下層──。
今目に見えている状況と今までの傾向から、この階層はゴブリンのようだ。
ゴブリンは、オークと同じようなステータスにも関わらず、集団意識があることで難易度が変わる。数体がかりで襲ってくるとオークジェネラルと同じくらいの脅威になる。
2人の目の前にも5体のゴブリンがいる。
と、ここで初めてずっと闘ってきた紬が顔をしかめる。遥斗もその理由がすぐにわかった。
「んじゃ、こっからはチェンジするか」
遥斗が紬の前に立つ。
「うん……私にはまだ──」
そこまで言ったところで、ゴブリンが空気を読まずに襲いかかってくる。その行動に遥斗は構えは取らずに、右手を広げ、ゴブリンたちの方に向ける。凄まじい行相で迫ってくるゴブリンに、遥斗は笑みを浮かべる。
──すると、遥斗の5本指全てに魔素が集まってくる。そして、放たれる。
全て命中し、5体のゴブリンが消滅した。
「──私にはまだ、3本指までしか制御できないよ」
頭の柔軟性はほとんど同じだが、2人はその方向性が違った。
遥斗は、特定の魔法しか覚えられないかわりに、極めるのが得意だった。
それにかわり紬は、幅広い魔法を上達させるのが得意だった。
しかし、この技は頭の柔軟性にはほとんど左右されない。これの成長度の違い──それは、イメージ力だ。
柔軟性=イメージ力と考える人も多いだろう。しかし、実際には柔軟性≒イメージ力だ。ほとんど等しいだけであって、全ては結びつかない。
遥斗は紬とは段違いのイメージ力だった。逆に言えば、紬はその兄との差を柔軟性で補っているということだ。故に、方向性の違いが生じた。
「少しでも時間短縮のためにシフトチェンジだ」
そしてゴブリンも瞬殺されていき、すぐにボス部屋にたどり着く。
「さぁて、っと。ここのボスは……おっ、ゴブリンジェネラルか」
「へぇ! やっぱり、ラスボスだからちょっと強いんだね!」
Dランク以上でないと厳しいだろう。ボス自体のステータスが全体的に上がっているのはもちろんのことだが、強さの秘訣はそこではない。仲間のゴブリンを召喚することだ。これにより難易度が跳ね上がる。
そのことを知らない2人にとっては別の問題があった。
「いよいよあのビームも通じなくなったな」
そう、これ以上の強さの魔物にはあの技が通用しないのだ。
──それでも、本気を出すには程遠い魔物である。
「それじゃ、地上初魔法、いっちゃうねっ!」
そう言って、紬はゴブリンジェネラルに正対する。そして右腕を前に伸ばし、人差し指を前に伸ばす。
すると、指先に火の玉が出てくる。それが少しずつ大きくなっていき、体長3mを超えるゴブリンジェネラルと同じ以上の大きさになる
「初級魔法・火炎玉!」
それをそのまま放つ。かなりのスピードで進み、破壊不能であるダンジョンの壁に当たり、霧散する。
ゴブリンジェネラルの姿は残っていなかった。
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