第19話.ハイド
冒険者証明書をタップすると、本名の入力欄がでてくる。
これだけなのか、と思いつつ遥斗は入力していく。
入力し、下にある次へをタップすると、パーティーの作成の有無を問われる。
「紬。パーティーはどうする?」
「解散とかは自由みたいだし、パーティーでしか受けられないクエストもあるから、一応組んでおこうよ!」
「ま、それもそうだな」
遥斗は作成をタップする。しかし、誰とパーティーを組むかなどは聞かれず、NOW LOADINGが出てくる。
「これ、多分あとでパーティー設定するやつだから、紬はスキップの方を押しててくれ」
「はーい!」
数十秒待つと、完了のチェックマークが付き、そのまま撮影画面に飛ばされる。2人が驚いていると、説明が添えられていることに気づく。
【続いてステータスを読み込みます。「ステータスオープン」と言うと、あなたのステータスが開けます。それを撮影してください。もし他人に見られたくないという方がいましたら、十分に注意して開いて下さい。クローズと言うと閉じられます】
「いやこの世界に対応するの早すぎるだろ」
「だね〜……」
そう言いつつ、2人は「ステータスオープン!」と言う。
名前 :佐藤遥斗
レベル :1
職業 :未選択
スキル :なし
特殊スキル:なし
魔法 :なし
技術 :なし
恩恵 :なし
称号 :なし
名前 :佐藤紬
レベル :1
職業 :未選択
スキル :なし
特殊スキル:なし
魔法 :なし
技術 :なし
恩恵 :なし
称号 :なし
もちろん、初期値だった。
「まさか、本当に大衆の中でステータスを開くことがあるとはな」
「ね! いや〜、出てきたあともサラちゃんに助けられたね!」
2人が隠し部屋で特訓していた最中、サラが言ってきたことがあった。
『もしかしたら今後人の前でステータスを公開する必要があるかもしれません。そうなった場合、お二人は完全にアウトなので、この特殊スキルを覚えてたほうがいいかもですね!』
そう言ってサラが教えてくれた特殊スキルは、秘匿というものだった。
これは完全ステータス専用スキルだ。これを使って隠せるのはステータスの情報のみ。さらには、隠せる量が魔法スキルのレベルによって変わるため、今の段階ではほとんど重要視されていないスキルなのだ。
2人はこの状態のステータスを撮影する。もう一度ロードが入り、それが終わると冒険者証明書が完成した。
完成した冒険者証明書を開いてみると、新たに冒険者ランクFという情報が表示されていた。
さらに、冒険者証明書とクエスト受注だけだったタブが、追加でパーティーという欄と冒険者ランキングが入っていた。
試しに冒険者ランクを開くと、日本と世界で分けられていた。しかし、世界ランキングで見ても、1位がまだDランクなのを見るに、この制度ができてまだ間もないのだろう。
続いて、パーティーという欄をタップすると、初めてなので設定画面に飛ばされる。
と言ってもパーティー名を設定するだけで諸々できるらしく、始めに設定するのはパーティー名だけだった。
「パーティー名か……何か案あるか?」
「うーん……隠し部屋から出てきたし、ハイド、とかは?」
「うん、それでいくか!」
「お兄ちゃん、絶対何も思いつかなかったでしょ……」
ということで、サクッと入力を済ませ、パーティーの設定を終わらせる。
すると、パーティーにもランクが与えられ、もちろんFスタートだった。
「あっ! お兄ちゃん! こっちからパーティー申請送れるみたいだよ! ほい!」
紬が申請を送ると、パーティーメンバーという場所に1件の通知が届く。もちろん紬からの申請だったので、即座に許可をタップする。
「よし! 設定するのはこれくらいらしいし、ちょっとだけダンジョン潜ってみるか!」
「うん!」




