第13話.適性
──ついに今日から遥斗たちは地上に出る。
遥斗は地上に出る前に隠し部屋での新感覚の出来事を思い出す。
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「では、今日から地上で冒険者という職業ができるまで、ここ隠し部屋で特訓を始めますよ!」
「ちょっと質問いいか?」
「はい? どうかしましたか?」
「地上で変化があったかって、いちいち俺たちが調べに行かないといけないのか?」
「いえ! 先程お二人が街に行かれた際に、遥斗さんを通して観察者というスキルを使ったので、しばらくはここから外の様子が分かりますよ!」
「サラちゃん強すぎ!」
さすがは最難関ダンジョンにいるサラ。自分がダンジョン内にいれさえすれば、本当になんでもできる。
「それでは特訓を……あ! その前にあれをしておかないと!」
そう言って、サラは例の装備庫に行き、水晶玉を取ってくる。
「これは魔力にまつわることを測定できる水晶玉です!」
「あっ、それアニメによくあるやつだ! どこのアニメでも名前が絶対にないあの水晶玉!」
「使い方は簡単! 手をのせるだけです! 今回は最適性属性を確かめます! では遥斗さんから。ここに手を置いてみて下さい!」
言われるがままに、手を置く。と、水晶玉が緑色に光り始める。いや、とてつもないほどの光で輝き始める。
「す、すごいですね……。風属性にありえないほど適性していますよ! このレベルはなかなか出てこないと思いますよ! もう手を離していただいて大丈夫です! では次に紬さん!」
紬はキラキラした眼差しを水晶玉に向けながら向かう。
「じゃっ、わたしも置くね〜! そ〜のっ! とんっ!」
すると、水晶玉は赤と青の2色に少し強く光り始めた。
「お、おぉ! 遥斗さんほどの光はないとはいえかなり高い適性ですよ! って、え? 2色ですか!? 火属性と水属性の2種類が比較的高い適性……。これは特訓しがいがありますね!」
サラは特訓しがいがある、と口では言っているが、それよりも驚きが強すぎた。
たいていの人類は1属性だけ少し適性があり、他は通常レベルという情報をサラは持っていた。が、目の前の2人は、異様に高すぎる適性持ちと高水準の2色適性ときた。驚くなという方が無理な話である。
さらに、魔法の成長速度は適正(適性)に左右される。
つまり、サラがここから導き出した答えは。
「お二人とも! 魔法の特訓、今日から始めますよ!」
「え、今日からもうできるの?! いえ〜いっ!」
「あれ、俺、剣……」
「遥斗さん。あとあと剣術にも関係してきますので……」
「まぁ、魔法も楽しそうだし全然いいんだけれども」




